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zoom RSS ドラえもん09年8月7日放送感想(のび太の中ののび太)

<<   作成日時 : 2009/08/08 17:37   >>

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「せめて夢の中だけでも…」
誕生日に、ふとした誤解から
夢の中の世界に閉じこもってしまったのび太。
彼を助け出すためにドラやしずかたちは
奇妙な夢の世界へ足を踏み入れる……。


確かに混沌とした世界なのだけれど、
予想していたほどぶっ飛んではいなかった気がする、
のび太の夢の中。
むしろどこか淡々としていて、
それゆえにまた違った怖さと、
胸に詰まるものを感じさせる、
そんな新たな境地だったようにも思えます。


のび太の中ののび太 →アニメオリジナル


あらすじはだいたい冒頭の記述通り。
誰も誕生日を祝ってくれないどころか、
居場所も無いように感じられたのび太が
ドラの道具によって夢の世界に閉じこもってしまい、
目を覚まさないのび太を
ドラたちが夢の中に入って呼びかけ、助け出す
というお話です。

「ドラえもん」としてはちょっと異質ではありますが、
構造としては「わりとあるような話」ではあると思います。
あくまで「あらすじ」としては。

しかしながら今回の話で良かったと思えたのは、
そうした物語の「見せ方」、あるいは「描き方」でしょうか。
夢の中ならではの都合のよさや崩れた世界を
物珍しさやギャグとして扱うだけでなく、
象徴的なキャラや事象を紛れ込ませることで、
のび太の心の奥底をわずかなりとも窺えるようになっています。
そういう意味では、
「心を閉ざした人物を仲間が助けにいく」、
という「わりとあるような話」ではあっても、
確かに「ドラえもん」でないとならない話、
になっていたのではないかなと感じました。

そのあたりの具体的な部分は、
以下の個別感想で。
かなり詳細なネタバレとなりますので、
これから見る方はご注意ください。


 ◇

・今日は誕生日うれしいな!
「るんたった〜」という懐かしい擬音が似合いそうな
のび太のはしゃぎぶり。
手の甲を上にそらして廊下を駆ける姿に
このあとの展開が薄々予想つく視聴者としては
フクザツなものがあります。

・ユーメー人
『みたい夢がみられる道具、
しかし夢が楽しすぎて出てこなくなる危険がある』
……って、そんな道具はメーカーが
とっとと回収すべきだと思うのですが。
そのあたりはちょっと苦しい感じもしましたが、
既に「ドリームプレイヤー」や「気ままに夢見る機」
がある以上、オリジナルで考えるなら仕方がないのかも。
それにそういうヤバい道具はドラのポケットにいくらでも

・流されていく赤いボール
いつもの川(細い方)で水の流れに引っかかっている
赤いボールがひとつ。
しずかたちに誕生日を忘れられていると感じた場面に合わせて、
ゆっくりと流されていきます。
表に出てこない心の動きをこういった背景で
なんとなく示唆するというのが良い感じでした。

・夢くらい良いよね、せっかくの誕生日なんだ
かくして、危険性を聞かされていたにも関わらず、
「ユーメー人」に手を伸ばすのび太。
ここのくだりが比較的さらっとしているのが
意味深いようにも思えました。
確かにドラには邪魔にされ、
友だちには誕生日を忘れられ、置いていかれ、
ママには叱られるという散々な目にあったけれども
決定的に絶望しているとか、悲しみのどん底にあるとか、
そこまで極端な状況にあるようには見えませんでした。
(もっとも、これは個人的印象なので、実際には違った可能性もあるのですが…)
なんとなく、ある種「慣れている」ような感覚と、
いつものように軽い気持ちと好奇心で、
「ユーメー人」を使おうとしている、
そんな様子にも思えます。
これが、意図されたものなら本当に見事かも。
(理由は後述)

・盆踊り大会とノビタマン ※のび太の夢
突如「踊れ・どれ・ドラ ドラえもん音頭」
のイントロが鳴り出して驚きますが、
このへんのギャップも意図されたものなのかなあ。
楽しい夏祭りの中で得意の射的をきめて、
しずかにはすごいと歓声をあげられ、
チンピラにからまれているジャイスネを颯爽と救い出すのび太。
「足が8本しかねえなんてタコ売ってんのか?」
「食ってんじゃん!」
「今日から炭坑節もドラえもん音頭もダメだ!
 踊っていいのはビヨーン団音頭だけだ!」
「ウルトラスーパーギガノビタマンデラックス!」
などなど、突如変身ヒーローものになるとか
何がどう混ざったらこうなるんだという、ワケの分からなさと急展開。
ツッコミが追いつかない無茶苦茶&都合のよさではありますが、
のび太ウサギが既に出ていたり、
あるいはその「都合のよさ」そのものにも
単なるギャグではないことの片鱗が出ている…のかも?
と後になって感じられる場面かもしれません。

モブキャラに川口さんと空野さんが居たり、
新世界デパートの店員が居たり、キョーボーが居たりと
どっかで見たような連中がぞろぞろ紛れ込んでいるのは
ファンサービスであると同時に、
のび太のこれまでの記憶が影響しているのかな、などと
深読みもできます。


・楽しかった思い出たち
盆踊りとノビタマンの異様なノリで
なんじゃこれ、とゲラゲラ笑っていると、
突然場面が切り替わり、
海で楽しく遊ぶのび太、しずか、スネ夫にジャイアンが
映し出されます。
そこにはさっきまでのような都合のいい無茶な設定はありません。
ただし、「のび太+海」につきものの、
「泳げない、仲間はずれ・仲間に入れない」という描写もありません。
さすがにそこまで狙ってはいないでしょうが、
先週先々週と海に行く話が続いたことで
そのあたりハッと気づかされるものがありました。
そして続くのはママにパパ、そしておばあちゃんが祝福してくれる
幼き日の誕生日の思い出の一コマ、
さらに「のび恐2006」を思い出させるような、
恐竜に乗って平原を駆ける場面、
ノンちゃんとの再会の場面、
西部劇の中で悪人をやっつけた場面、
大好きだったおばあちゃんのひざで眠る場面、
が次々と映し出されていきます。
この時画面の枠がどんどん小さくなっていくのが
ぞっとするほど怖く、
それと同時にどうしようもなくこみ上げてくる切なさがありました。
その直後、文字通り幸せそうな表情で眠り続けるのび太が
映されることで、さらに胸に詰まるものがあります。
特に直接的なセリフもなく、淡々と画面が切り替わるだけなのだけれど、
こんなにも心に伝わってくるものがあるなら
やはりアニメーションでしかできないものもあるのだな、と
30年も放送が続いていることを本当に嬉しく思います。

・のび太の中ののび太
ドラたちは「のび太の夢の中」に入っていったわけですが、
どうも「のび太の夢」というよりは、
「のび太の心の中」という感じだったような……
そのへんは置いておくとして、
のび太の心の中?はいつものご町内に
奇妙な動物たちがたくさん居る世界になっていました。
キー坊やピー助、パオパオが紛れていたのも
いろいろな意味で感慨深いものがあります。
動物ばかりで人間がスネ夫、ジャイアン、しずかの幻影だけ
というのも考えようによっては深いかも。
のび太にとって人間より動物(や自然)の方が……とか、
ジャイスネしずはそれぞれ金やモノ、力、愛の象徴?とか、
ちょっとひねくれて考えすぎかもしれませんが、
そうやっていろいろ想像の余地のある世界なのが
非常に興味深かったです。

・それじゃ、参りますかなあ(先の副将軍風に)
テレビ朝日でこのネタ通るんだ……
さすがに例の歌は微妙に変えられていたけれど。
「みんな気をしっかり持つんだ!」の直後だけに笑わされましたが、
水戸黄門ってもう4人だけでパーティ完成してるなとか、(弥七とか八兵衛もいるけど)
そういや「西遊記」にしろ「桃太郎」にしろ、
ドラが居たらジャイスネしずと4人だけでメンバー埋まってるなとか、
これはすなわち「ぼく要らないだろ」という深層意識?とか
つい余計な妄想をしてしまいました。
考えてみれば映画「パラレル西遊記」や「ぼく桃太郎」の
ポスターの配役も微妙なことになってたような…… ドラのびで悟空が二人居ることに

・のび太ウサギ
ウサギに導かれて奇妙な夢の世界、というと
不思議の国のアリスしか思い出せないのですが、
元ネタはそのへん…なのかな?
夏祭りの場面で既に居るあたり(「理想ののび太」と同時に)
のび太でありながら本人そのものとも微妙に違う気もしますが、
そのへんの解釈はうまい事思いつきませんでした。
ええと、そうだ、ウサギは寂しいと死んじゃうんだよ!?

・ドラえもんの不在
のび太の「楽しい夢」(理想&思い出)にしても、
あるいは「心の中」(仮)にしても、
「ドラえもん」という存在を象徴するものがない(ように思えた)
のが気にかかりました。
一番の親友であるし、のび太の心の中に
ドラが居ないはずはないのだけれど……
これは明らかに意図的と思えるので、
その意味をうまく読み取れなかったのがちょっと悔しい。


・穴だらけの空間とメビウス階段、0点の墓場
こういう不思議世界大好きです。
だんだん深く、奥へ進んでいくのも良いなあ。
そして砂漠の中に出現する「0点の墓場」。
比較的直接的でわかりやす過ぎる感じもしますが、
書き足された「100点」の光に
のび太ウサギが涙を流すところで
私の涙腺も決壊。
なんか良く分からないですが妙にぐっと来ました。

普段ののび太は(特に原作)何をやってもダメで、
0点ばかりで、それで怒られるのも「お約束の日常」で
本人もそれで特別腐るでもなく、
むしろドラの道具を使って調子に乗って遊び回る、
「少なくとも高校まで行けることがわかって安心した」と
昼寝を決め込むような「明るい人」として描かれています。
が、本当に全く気にしていないわけではなくて、
少しでも良くなりたいとは願っているし、
そして今回の話のように、心の奥底では
0点の枚数だけ傷ついているのかな、悲しんでいるのかな、
というようなことも考えさせられました。

うまくまとめられないのですが、
先述したように、特別な深い絶望から
夢に逃げ込んだとかではなくて、
誰にでもありそうなほんのちょっとした心の暗雲がきっかけ、
(のように見えた)のが意図されたものだとしたら
本当に素晴らしいなと思います。
過剰にドラマチックにすることもできるだろうけど、
そうしないからこそ感情移入できるという印象でしょうか。
のび太というキャラクターがしっかり把握された上なので、
単なる「わりとある話」に終わらず
この作品ならではの味が出ている気がしました。
まあ、それにしてもちょっと異色ではありますが、
アニメ版(わさドラ)だからこそということで。


・みんなのせいだ!
冷え切り凍てついた心の中において
仲間たちの友情はアツい! 
ベタだが素直に良い感じでした。
氷の中で眠るのび太を囲んでドラたちが涙を流す中、
背後に忍び寄る闇がとても不気味だったのですが、
もうちょっと遅かったら皆飲み込まれてたということでしょうか。
このあたり微妙に分かりにくく、
また時間も押し気味に感じたのは残念。

・誕生日おめでとう!
どんな呼びかけよりも
この言葉が心に届いたというのもぐっと来ます。
まさにのび太の誕生日の放送にふさわしい話でした。
「ああーよく寝たぁー」とまるっきり普通に
(むしろ呑気に)目覚めるのび太によって、
いつも通りの日常に戻ってきたと感じさせる演出も見事。
「ドラえもん」はやっぱり過剰なドラマやファンタジーは
要らないように思えます。
「いつも通りの、明るくのんびり呑気なのび太」だからこそ、
今回ちらっと垣間見えた心の奥底が
視聴者の心に響いてくるのかもしれません。

「夢はもうやめて〜」と逃げ出すくだりは
別に普通にケーキを食べるだけでも良かったかも?

 
 ◇


<みんなでつくる30年後ののび太の町>
締め切りは過ぎましたが、
ミニコーナーとしてまだ続いていくようです。

未来のスネ夫の家が金ピカってのは面白いけれど、
もはやハガキのデザインの面影も残っていないのは……
近隣住民から景観を損ねると苦情が出ないものか
いささか気になります。


ちょっと余談ですが、
テレビ朝日ドラえもん公式サイト「ドラドラニュース」
等によると、
この募集の採用プレゼントとして紹介されていた
「心に残るお話30」のDVDが一般発売もされるそうです!
さらには1979〜80年の(大山ドラ)テレビ朝日版初期作品も
DVDーBOXで発売とのこと!
(『ドラえもん タイムマシンBOX1979』)

すごい! すごいぞテレ朝&小学館&関係各社!!
F全集をはじめとした一連のFプロジェクトといい、
なんかものすごいバブルがやってきたような気がします。後が怖いな


 ◇

次回は8月14日「幸せな人魚姫」(しあわせな人魚姫)

来年の映画「人魚大海戦」にからめられそうな話を
早々に投入してしまうということは、
もっと違う路線で行くということか……
それとも7ヶ月先を見据えた壮大すぎる伏線?

ともあれドラがお節介を焼く以上に
人魚姫との交流がありそうということで、
そのあたりのアレンジに期待。
完全にドラえもん主役話になりそうな気もします。

「やるよやるよ、やりゃいいんだろ」
と魔女を泣かす説教シーンが好きなんですが、どうなるか。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
話の内容が気になり、いろいろウェブを渡り歩いていたらここにたどり着きました。ドラえもんの不在についてですが、のび太マンが出てきたのは、「ドラえもんに頼らずにしずかちゃんを助けたい」という思いの表れでは。ドラえもんに頼りっきりの自分を無意識に情けなく感じているから、「いつまでもドラえもんを頼れない」という思いがドラえもんの不在につながったのではないかと。
どばしくん
2016/07/09 19:52
こんにちは。確認が遅くなりまして申し訳ありません。
古い記事でしたがご覧頂きありがとうございました。
この話でのび太の夢にドラえもんが居ない理由については、おっしゃるとおりドラに頼りきりになっている自分についての葛藤が無意識下にあったのかもしれませんね。
「0点の墓場」や、カメではなく「ウサギ」ののび太など、彼の心の内に眠っているいろいろな想いを垣間見ることができた話だったかなと思います。
春巻き(管理人)
2016/07/11 21:47
初コメント失礼します。以前よりこのサイト様にはお世話になっておりました。Twitterでもお世話になっているれいです。ご挨拶が遅れて申し訳ありません。話の読みの深さにはいつも感服させられます。今回の解釈も個人的に「野比のび太」というキャラクターを掘り下げる一助となりました。とりわけ穴だらけの空間とメビウス階段、0点の墓場にあります、「普段ののび太〜描かれています。」「とりわけ深い絶望から〜ほんのちょっとした心の暗雲」の解釈は自分の胸の中に渦巻いていた思いにぴたりと当てはまりました。やっぱりのびちゃんは変に拗ねて夢の中に引きこもる様なのは似合いませんよね。本人としてはちょっと夢を見てただけ、というのがなんとも彼らしくていいと思いました。
今回も素敵な解釈ありがとうございます。
長文並びに乱文コメント失礼いたしました。
れい
2017/02/24 10:52
れいさんこんにちは。twitterの方でもお世話になっております。
古い上にとても長い記事でしたが、ご覧頂きありがとうございました!

この話は今のアニメシリーズの中でも特に異色の回だったと思いますが、個人的にのび太について様々な角度から考えるきっかけになりました。
のび太は基本的には明るい人ですが、色々な悲しさや寂しさもちゃんと心で感じていて、その上で明るさや強さ、優しさが表れているのかなーと考えます。
目覚めたときはいつも通りで本当に良かったなと思いました。

こうしたキャラクターの違った側面が見れる話も、たま〜にあると嬉しいです。
春巻き
2017/02/25 02:53

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