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zoom RSS 学年誌の「F先生以外」のドラえもん(1) 〜さいとうはるお「ドラえもんふしぎ探検」

<<   作成日時 : 2009/10/04 23:34   >>

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コロコロやサンデーにも掲載がありましたが、
「ドラえもん」と言えば学年誌(「小学一年生」〜「六年生」)
学年誌といえば「ドラえもん」と言っても過言ではないでしょうか。

しかし、少なくとも90年代以降に学年誌を読んでいた方には、
「藤子・F・不二雄先生以外の方が描いたドラえもん」
の方が、むしろおなじみだったのではないかと思います。
(藤本先生が体調を崩されて通常連載が休止したため)

「ザ・ドラえもんズ」などを除くと
学習・知識系の内容の作品がほとんどですが、
これらを「F先生じゃないから」「学習マンガだから」と
切り捨ててしまったり、埋もれさせてしまうのは、
非常にもったいないなと以前から考えておりました。

と、いうことで、唐突ではありますが
私が保存していた学年誌の中から
そんな「F先生以外の方が描かれたドラえもん」を
いくつか掘り起こして紹介する企画を
はじめてみたいと思います。
不定期でマイペースな更新になってしまいますが、
「ドラ関連以外の学年誌掲載作品紹介」の記事も
合わせてご覧いただけたら幸いです。

 ◇

第一回目は
「小学二年生」に連載されていた
さいとうはるお先生の「ドラえもんふしぎ探検」を
取りあげたいと思います。
掲載時期は90年〜93年頃のようですが、
詳細は確認できていません。

とりあえず私の所持している91年の「小二」を
参照して述べていきますが、
この年が初出ではなく、前後の学年で同じものが
再録掲載されていた可能性もあることをご了承ください。

また、この「ドラえもんふしぎ探検」シリーズですが、
同名で単行本化もされているので
(児童向け学習書のマンガパートとして)
学年誌以外でも読むことができました。(現在は絶版)
が、収録されているのは連載の一部だと思われますので、
以下で紹介する話も、埋もれてしまっているかもしれません。


前置きが長くなりますが、当時の状況についても少々補足を。
私の学年は「小一」で一年間(再録でしたが)
F先生のドラを読んできましたが、
「小学二年生 4月号につづく」とあって、
実際に「つづい」たのがこの「ふしぎ探検」でした。

既に「ドラえもん」を描くのはF先生だけじゃないということは
なんとなく把握していたので、
特に疑問を感じる事はありませんでしたが、
今にしてみれば少々特殊な扱いだったのかもしれません。
ちなみに「ふしぎ探検」最終回「小二」3月号では、
「小学三年生につづく」とあって、
「小三」ではF先生オリジナルのドラ(もちろん再録ですが)に
「つづき」ました。
ちょうど学年誌における「ドラ」の扱いが
迷走していた時期であったのかもしれません。

とはいえ、このさいとうはるお先生による「ふしぎ探検」が
作品として劣っているとかそういうことではなく、
「似ている・似ていない」という観点も当然別のこととして、
純粋に学習マンガとしての完成度は
かなり高いものであったのではないかと思います。

 ◇

状況の説明はこのあたりにしまして、
さいとう版ドラと言えば、
個人的に「イネの精」に尽きます。

イネの精可愛いよイネの精。
彼女を埋もれさせちゃ勿体無いなあ。


画像・さいとうはるお「ドラえもんふしぎ探検」より「イネの精」

1991年「小学二年生」11月号 p.77より
画像クリックでこのコマの全体が見れます



彼女「イネの精」は91年「小二」11月号、
「なぜ秋祭りをするの?」に登場したキャラクターで、
「精霊よびだしうでわ」で
秋の収穫祭について話を聞くために呼び出した後、
ドラたちと一緒に祭りが始まった頃の様子を見に
過去へ同行しています。

登場シーンはこんな感じ


原作の「雪の精」も大好きなのですが、
このさいとうさんの「イネの精」も
金色の三つ編みに緑色のスカートがとても可愛らしく、
お気に入りのデザインです。

今をトキめく擬人化ですが、そんなのは
「ドラえもん」がとっくの昔に通ってきた道……

さておき、このキャラデザインが映えるのも
全ページカラー彩色の作品ゆえでしょうか。
ドラたちの服装も細かく、背景も綺麗で、
学習マンガらしく、資料的な場面の描きこみも緻密です。

それでいて、解説や説明に終始するわけでなく、
マンガとしてのメリハリやオチもきいています。

4月号の「漢字のひみつ」などは特にそんな印象を受けます。

いつもの四人で漢字の勉強中、
「漢字おぼえき」を出してと無茶を言うのび太、
「あれなら楽しくおぼえられるかも」
と、ドラが出したのは
「コエカタマリン 小学生漢字用」。
かくて張り切って使ってみるのび太だが、結果は……


画像・「巨大な『山』と『川』の文字が降ってくる画」

1991年「小学二年生」4月号 p.65より

……まあ、そうなるよな。
続くコマでのジャイスネのセリフは
 「何がたのしくおぼえられるだ」
 「あぶなくて、勉強なんかできないよ」

予想できてしかるべき、全くごもっともです。

と、いうか何の意味があるんでしょうこの道具。
「小学生漢字用」とかピンポイントすぎるし。

そんなユカイな序盤の展開を経て、
実際に漢字がつくられた(甲骨文字が成立した)頃の
中国へ向かうのび太たち。
しかし不審者として捕らえられ、火あぶりの神託が下り、
大ピンチというところでのび太が泣き出すと、
先ほどの「コエカタマリン」の効果で
ハタ迷惑な巨大文字が出現し、一発逆転!
かくて無事に帰ってきたのび太たち。
今回学んだことを反省し、真面目に漢字の勉強をしていると
テレビでニュースが。


画像・「巨大な漢字形の化石が発見されました」

1991年「小学二年生」4月号 p.65より

と、いうことでT・Pぼんの「武蔵野の先人たち」を
思い出させるようなオチで
Fっぽさもあり、楽しく読むことができます。

それでいて知識も無理なく身につけることができ、
「甲骨文字」や「始皇帝が漢字を統一」といった事項も
「ああ、『小二』のドラで読んだあれね」
という具合に後々まで思い出すことになりました。
マンガで学んだ事は妙に忘れにくい気がします。


そんな風に知識を子どもに分かりやすく伝えるというのが
学習マンガの基本ではありますが、
「マンガ」であるゆえに
文章にないインパクトを与えられるという強みもあります。

ぶっちゃけた話、
子どもにとっては理屈で説くよりも、
ビジュアルの怖さが効果的ということでしょうか。

個人的にトラウマに近いものがあるのが、
6月号の「虫歯の科学」。

歯医者なんていやだ、虫歯なんて平気さと言うのび太に
ドラが「ドリームプレイヤー」を出し、
歯の大切さを学んでくるように薦めます。
夢の中で案内人と称する虫歯菌に
虫歯の仕組みを教わるものの、最後になって
「虫歯のあるやつは乳酸に変えてやる」と本性を表し、
5人の中でのび太だけが怪光線の餌食に……という展開。


画像・虫歯菌によって溶かされていくのび太

1991年「小学三年生」6月号 p.42より

この「とけてきたようだ」
というのがリアルで怖くて怖くて。

結局、(のび太は忘れていたようですが)
ドリームプレイヤーの夢カセットの中なので、
反省したところで目が覚めるという展開なのですが、
虫歯の仕組みと怖さ(というかこのビジュアルの不気味さ)が
しっかり刷り込まれました。

余談ですが、小三の頃にこの話と別な記事を元にして、
虫歯予防の作文を書いたところ、銅賞を頂いたことがあります。
学年誌は確かに「学年別『学習』雑誌」だったんだなー
と感じると同時に、
学習マンガとしてのこの作品の完成度の高さをも
再確認させられました。


そのほかにも小さくなって牛乳の中に入り、
たんぱく質やカルシウムの成分(ボール状)を丸かじりする話とか、
宇宙のはじまり(ビッグバン)を見に行く話とか、
印象的なエピソードはいくつもあります。

しかしなんと言っても個人的にはイネの精かな……(しつこい)
今見ても本当に綺麗な彩色で、
服装も毎回凝っていて(それでいて画面の色もばらけていない)、
埋もれさせるのが勿体無く思えます。

南極の話では、のび太が長ズボン(ジーンズ)をはいていたり、
しずかが黒い靴下(ストッキング?)なのも良い感じでした。

さいとうはるお先生は
藤本先生ではなく、安孫子先生の組のチーフアシスタント
だったようですが、
「ドラえもん」の絵柄も柔らかくてとても素敵だと思います。
最近はまた少し絵が変わられているようなので、
機会があれば拝見してみたいのですが……

今回の記事のために軽く調べたところ、
一時期「ドラズ」で学習マンガを執筆されていたこともあるとか!
さいとう版「ドラズ」なんてあったとは、知らなかったなあ。
学習マンガではあっても、絵柄や展開などが気になります。

 ◇

と、いうことで今回は「小学二年生」に連載された
さいとうはるお先生による「ドラえもんふしぎ探検」を
紹介してきましたが、
もちろん別冊付録等の作品もありますし、
他の学年、年代でも多くのさいとう版「ドラ」を執筆されています。

特に別冊付録では、 「野比セワシ殺人事件」やら
「パソコン通信のゲームでボロ負けするスネ夫」やら
おいしい面白いネタの作品がたくさんあるので、
気力や体力や時間や反響、あるいは愛とか情熱次第で、
また取りあげられたら良いなと考えています。

 ◇

ひたすら長い文章になりましたが、
ここまでご覧頂きましてありがとうございました。
ごく限られた年代の話で申し訳ありませんでしたが、
「F先生以外の描いたドラえもんの学習マンガ…あったあった」
と、懐かしんで頂けるところがありましたら、
もしくは「F先生の連載が休止している頃はこんな様子だったのか」と
雰囲気が伝わっておりましたら幸いです。


次回は時期未定ですが、方倉版か三谷版を予定しています。


第2回 方倉陽二「ごくらく算数コミック」ほか
第3回 三谷幸広「わくわく国語ワールド」ほか

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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
どうも、お久しぶりです。

確か私の実家にさいとうはるお先生の描いたドラえもんの漢字辞(小学生)典みたいな少し分厚い本があります。
漢字にちなんだひみつ道具の四コマ漫画や書き順、2ページ使った大きなパノラマイラスト(イラストの中野キャラクターや物に漢字が振られてる)が載っていて、さいとう先生の描いた「ドラえもん」がかなり堪能できます。
楽しく漢字の勉強も出来て一石二鳥です。

私もさいとう先生のドラえもんは柔らかく、表情も何だか生き生きしていて、カラーはとても美しく塗られて好きですね。

続く…
納汲蜩
2009/10/09 20:05
続きです。連続コメント失礼します。

後、自分の世代の小学4・5年生?の付録にドラえもんの理科・社会を勉強できるちっちゃい漫画ブックが付いていて、それも当時かなり読み込んでた覚えがあります。

確か…
■地図の読み方(外人さんに道を尋ねられ、地図記号を勉強しながら目的地の家(のび太達の先生の家でした)にたどり着く)
■カレーライスを作ろう(お買い物の仕方、ジャイアンとスネ夫の作ったカレーはジャイアンが勝手に買った大量のジャガイモ・ガムやお菓子・ガチャポンとかななりカオス)
■明かりの歴史(行灯→裸電球…と、タイムマシンで移り変わりを勉強)
■光(盗まれたドラヤキを探して鏡や虫眼鏡を使いながら進んでいく。最後にドラヤキは野良猫が子供の為に取ったことが分かり、みんなで仲良く食べる)
■空気(湖の底の河童にさらわれたしずかちゃんを助けに湖底へ。空気を止められピンチに陥るも、何とか空気を取り戻し空気砲でやっつける。河童達はお詫びに宴会を開く。帰りは水の泡で送ってもらうが、のび太がおならをしてしまい大変な事に)
■地底(マントル、地層などの勉強。穴に落ちたママの指輪を探してミニ地底探検車に乗って地底へ。モグラに襲われピンチになったり、地底探検車の出口が焚き火の中だったりと散々な目にあったが、無事に指輪は見つける事が出来た)
■磁石(方角・磁石の原理の勉強。サイクリングに出かけるスネ夫たちの後を磁石を使って追いかけるドラえもんとのび太。帰りは同じ磁極は離れるの力を使ってフルスピードで進むが、フルスピード過ぎて森野奥で迷子に…ドラえもんが磁石で方角を調べながら道を進むオチ)

と、覚えているのはこんな感じです。けっこう覚えてて自分でもビックリです。
描いていたのはさいとう先生ではなくて田中道明先生だったと思います。
納汲蜩
2009/10/09 20:28
さらにザ・ドラえもんズ スペシャル(シナリオ:宮崎まさる、作画:三谷幸広)も好んで読んでました。こちらも歴史上の事件や人物、科学などを知る事が出来て勉強になりました。第7巻の長編・タイタニックの話、何巻かは忘れましたがのび太のパパと河童のお話が印象に残っています。

この漫画シリーズは勉強も出来て、SF・ミステリー・推理・ファンタジーと楽しめる要素が盛りだくさんすぎるので是非今の子供も読んでみて欲しいなぁ…と思っています。
こんな話をしてたら私自身が読みたくなってきました…。

これで最後です。ホントもういつも長々すぎてすいません。
それでは、失礼します。
納汲蜩
2009/10/09 20:33
こんにちは。
突発的な企画記事でしたが、ご覧頂きましてありがとうございました。

社会科や理科の別冊付録はあらすじを拝見するだけでも、とても面白そうですね!
個人的にカレーライスの話が気になりました。
学習(冒険?)のきっかけも多様で、非常に興味深いものばかりです。

ドラえもんズは最近マイブームの兆しがあるのですが、状態の良い本が少なく、当時揃えておけば良かったなと後悔しているところです。

それでもドラズは「F先生以外の方のドラえもん」の中でも、ある程度単行本化され、知名度も人気もあるのですが、学習マンガの類はなかなかそうした機会に恵まれないようで、もったいないなということを感じています。

逆に言うと雑誌掲載のみだからこそ、ぶっとんだ展開や思い切った話もできたのかもしれません。
自分の学年以外は把握しにくいのが学年誌の宿命でもありますが、今回ご紹介いただいたように、他の年代でも素晴らしい作品が掲載されていたのだと思います。

私が取り上げられるのはそのごく一部でしかありませんが、少しでも懐かしく思い出していただけたら幸いです。
F先生のドラを六年間読み続けてきたような、ど真ん中の世代の方はどのように感じられているのかが不安ではありますが…… 
なんとなくでも、雰囲気が伝えられていたら良いなと願います。

マイペースになりそうですが、次回もよろしければのぞいてやってみてください。
春巻き
2009/10/10 00:27
カレーライスの話を詳しく説明すると、なんというか社会より家庭科に近い気がします。

その漫画ではしずかちゃんがとても買い物上手なのです。
カレーライスに必要な材料をメモに書きだしてそれを参考にスーパーで買っていく。肉はカレー用を購入し、余ったお金でデザートのメロンを買ったり。
メロンをスーパーで買わなかった事をドラえもん・のび太に不思議がられるんですが、理由が馴染みの八百屋さんならまけてくれるという話をしていてそれが少し印象的でした(その時の表情は「えへへ」という顔で、少し舌をペロッと出してて妙に可愛い感じが)。

ジャイアン・スネ夫チームはジャイアンが勝手に行動してしまったのがカオスカレーの失敗だと思われます。
ジャガイモが特売で売られていて大量購入したり、にんじんは嫌いだからと買わなかったり、スネ夫の見てない所でガムやお菓子を買ってガチャポンをやったり…。最終的に材料を買うお金が足りなくなってスネ夫に借りてる所とかを見て、子供心に「買い物はしっかりやらないと駄目だなぁ」と思いました。

ガチャポン入りカレーはかなり衝撃でした。不味いというドラえもんに怒って自分で食べるジャイアンですが、口の中にガチャポンカプセルが入ってしまい、口からガチャポン機械のように出すという…。その時の擬音が「カプセルが入る(ガチャ)」「吐き出す(ポーン)」という表現がされていて変に笑えます。
それを見ていたみんなは「あんなカレー食べたくないや」と言って部屋から立ち去ろうとします。
最後にドラえもんが苦笑い顔で「どっちがかしこい買い物をしたか、考えてみてね」と言うオチで完。
納汲蜩
2009/10/10 18:11
「追記:
しずかちゃんは他にも「福神漬けがあればもっと美味しくなる」と言って福神漬けも買っていました。
ちょっとした豆知識みたいなものは他の話にも書かれていて、こういうのは子供も覚えやすいんじゃないかと思います。
納汲蜩
2009/10/10 18:17
詳細ありがとうございます。
確かに社会科というより家庭科のようですね。
剛田商店の将来がちょっぴり心配になります。
カレーという身近な料理ゆえに、子どもにも分かりやすいよう練られているんだろうということが伝わってきました。
春巻き
2009/10/10 20:56

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