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zoom RSS 学年誌のF先生以外のドラえもん(2)〜方倉陽二「ごくらく算数コミック」ほか

<<   作成日時 : 2009/10/20 22:40   >>

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90年代前半の学年誌に掲載されていた、
藤子・F・不二雄先生以外の方による
「ドラえもん」の学習マンガを紹介する企画の2回目。
今回は「ドラえもん百科」などでおなじみの
方倉陽二先生の作品を取り上げたいと思います。


 →第1回 さいとうはるお「ドラえもんふしぎ探検」 の記事へ。
 →第2回 三谷幸広「わくわく国語ワールド」 の記事へ。

 ◇

方倉陽二先生は残念ながら97年に亡くなられてしまいましたが、
「ドラえもん百科」でドラミの「チューリップ号」など
公式に逆輸入された設定を生み出す一方で、
「ハードボイルド8頭身ドラ」やら「ドラミのボーイフレンド」やら
ぶっとびの方倉ワールドをも繰り広げ、
「F先生以外の方が描くドラえもん」の(代筆等除く)
先駆け的存在であると思われます。

と同時に「のんきくん」や「アカンベー」、
メディアミックス作品「まじかるハット」など
ご自身の作品も精力的に執筆されており、
90年代の学年誌でもそれらオリジナル作品と、
「ドラ」関連作品とを平行して手がけられていたようです。

さて、「ドラえもん百科」は全2巻で単行本化され、
知名度も高いのですが、
方倉ドラを語るときに欠かせないだろうと思われるのが、
学年誌や児童書単行本で発表されていた
ドラえもんの学習マンガの数々。

前回とりあげた、さいとうはるお先生ほか、
多くの方がドラの学習マンガを手がけているのですが……
 方倉ドラは方倉ドラという作品だ。
と、いう気がするくらい、ずば抜けて異彩を放っています。
失礼ながら、絵柄が原作に似ているかどうかで言えば、
かなり大きく違っています。
でもそんな事はどうでも良いのです。
ともすれば難しく単調になりがちな解説や知識を、
方倉先生独自の絶妙な間とテンポで料理し、
それでいて学習の要点はしっかりまとめられているという
素晴らしさ!

以下、そんな方倉ドラの学習マンガを紹介していきますが、
先に1993年の「小学四年生」の状況について補足を。

 ◇

1993年の「小四」はF先生による
オリジナルの「ドラえもん」の再録掲載がある一方で、
「ドラえもん学習まんがランド」と題された一連の
ドラ学習まんがページが設けられていました。

この執筆メンバーが
英語:田中道明先生
国語:三谷幸広先生
理科:ヨシダ忠先生
そして算数:方倉陽二先生と、
今にしてみればひっくり返るような
オールスターキャストでした。

これに別冊付録で適宜、さいとうはるお先生や
たかや健二先生が加わっていたわけです。
当時は特に何も考えず当たりまえのように購読していましたが、
いや…凄いよね、これって……

さらにF先生の新作が毎月読めればなお嬉しかったのでしょうが、
再録ながら単行本未収録作品(当時)の掲載だったので
個人的には十分でした。

が、8月号で、なぜかオリジナル「ドラ」の掲載が
突如終了に……
「藤子先生のごつごうにより、来月から『ドラえもん』はお休みします。
『ドラえもんの学習まんがランド』を楽しく読んでね!」

って、おかしいだろ小学館!
と、当時の編集部に向かって
時空を超えたエアツッコミを入れたくなります。
(再録で加筆修正も無いため、F先生の体調に負担をかけることも無かったはずでは……?)

と、まあそんなこんなで、
F先生のオリジナルのドラが再録すら打ち切られ、
F先生以外の方の描かれるドラがいっぱいというのが
当時の「小四」の状況でした。

前後の学年でもだいたい似たような状況だったと思われます。
次回以降、田中版や三谷版の紹介をする際にも
このような当時の雰囲気を思い出していただければ幸いです。


 ◇

前置きが長くなりましたが、
学年誌の方倉ドラとして、まず取り上げるのが
「ドラえもん学習まんがランド ごくらく算数コミック」。
まんが:方倉陽二
指導:<新しい学び方研究所> 山口富士子
(c)藤子・小学館・テレビ朝日
というクレジットになっています。

私が所持している93年の「小四」を参照して記述していきますが、
この年が初出ではなく、前後の学年で同じものが
再録掲載されていた可能性もあることをご了承ください。

さて、この「ごくらく算数コミック」は
のび太やスネ夫が算数の問題に詰まって、
おバカな解答を出したところでドラが光の速さでツッコミに来る……
というのが基本パターンではあります。
が、肝となるのは、自ら算数の勉強なんかするはずも無いのび太を
いかに問題に取り組ませるかという展開の見せ方。

他の教科にも言えますが、この部分が適当であると
仮にも「ドラえもん」である「らしさ」が失われますし、
なにより読者を引き込むことができません。
ただめくっていけば話やギャグが面白いという
普通のマンガと異なる、学習マンガならではの難しさでしょうか。


とかなんとか、理屈っぽいことを述べてしまいましたが、
個人的に方倉学習ドラと言えばこれに尽きます。

サギ師のおねーちゃん最強!!

サギ師のおねーちゃんとは、8月号で登場したキャラクターで
のび太とスネ夫の前に現れては
計算の弱さにつけ込み、
お金を巻き上げようとする恐るべきナイスバディ美女のことです。

具体的には

・「500−(100+180)」を「500−100+180=580」にさせ
 アイスとヤキイカの代金から、お釣りを代金以上に取る

・「200×500はゼロ4つ付ける」と強調して
 ジュース500本を1万円で買取り、
 即座に原価90円×500=4万5千円で買い戻させようとする

などなど、とんでもない計算違いを誘導してきます。

しかしながら、やっていることは結構えげつないのに、
なぜか憎めない不思議な魅力がありました。

と、いうよりも騙される方も騙される方という
印象を受けるためでしょうか。

方倉陽二「ドラえもん学習まんがランド ごくらく算数コミック」より「サギ師のおねーちゃん」

1993年「小学四年生」11月号 p.98

0.01リットル10円なら、
1リットルは1000円になっちゃうだろう、のび太……
消費税3%の時代に、デパートの生絞りジュースをも上回る価格です。

詐欺に気づいてストップをかけに来るドラえもんですら、
色仕掛けに鼻の下を伸ばす始末。

のび太たちが何を間違えて騙されたのかを解説し、
「こういうことだったのか」と納得する頃には
コマの背景に走り出すおねーちゃんの後姿が描かれ、
ラストで「しまった、また逃げられた!」
というのがすっかりお約束の展開に。

12回の連載のうち、実に5回もの出演を誇る
立派なレギュラーキャラに成長しました。

方倉先生オリジナル作品の「のんきくん」に登場する
釣り堀のおねーちゃん」(やはりサギ師っぽい)
が原型でしょうか……
類するキャラはもっと他にも居たかもしれません。


その他印象的なのはスネ夫のフィーチャーぶり。
なぜかしずかとジャイアンの出番はほとんど無く、
のびスネコンビが毎回トンチンカンな解答を出していました。

てんコミ8巻の「グラフはうそつかない」によると
頭のよさは 
しずか>スネ夫>ジャイアン>のび太
とのことですが、
個人的にスネ夫とのび太が同レベルのイメージがあるのは
この作品の影響かもしれません。

スネ夫のボケ解答に炸裂するドラえもんのツッコミハンマー

1993年「小学四年生」11月号 p.99

ドラえもんのハンマーがうなることうなること!
この辺の勢いも方倉節なんだろうなと感じさせます。

 ◇

方倉先生は別冊付録も多く手がけられ、
そちらでも印象的な作品を残しています。

中でも気に入っていたのが
92年「小三」6月号付録
「ドラえもんのまんがことわざ事典」→表紙画像

とにかくマイペースで気の長いドラにのび太に
なぜかドラミが大活躍の一冊。
「馬の耳に念仏」など、ことわざの状況が
ドラたちの脱力ギャグでテンポ良くわかりやすく楽しめます。

が、お約束の「尻からドドドと飛んでいく図」が
ひとネタにつき一回ずつ組み込まれているあたりや
独特ののんびりした雰囲気など、
元は「のんきくん」の事典だったのではないかなと
いう気がするのですが……?
(他学年で同ネタの「のんき」→「ドラ」描き替え事例あり)

しかし仮に「のんきくん→のび太」の描き換えであったとしても
全く違和感がないあたりがいろんな意味で凄いかと。

なんとなく好きだったのはこの「石の上にも三年」のネタ。


逆に石に冷やされたドラをドラミが上に乗って温める

1992年「小学三年生」付録 「ドラえもんのまんがことわざ事典」 p.12

これは「ドラ」に合わせた新作じゃないかと思いますが、
「ドラの上にも三年」ってなんか可愛いなあ。
兄の上に乗る妹というのも何ですが。

今回読み直していて一番笑ったのはこの一コマ。



のび太の口にパンを突っ込み、カバンに教科書を詰める兄妹ロボットの図

1992年「小学三年生」付録 「ドラえもんのまんがことわざ事典」 p.48

うわ、すっごいわかりやすい! 目茶苦茶わかりやすい!
見事に「手がかかる」を表現しています。


 ◇

その他、異色のところでは、
93年「小四」8月号付録の「ドラえもんの発明教室」収録の
「中松義郎物語」が印象的でしょうか。
伝記ものも多く手がけられてる方倉先生ですが、
これはとりわけ「ドラ」+「発明」+「中松義郎氏」
という組み合わせで、
いろいろと凄まじい 化学反応を起こしているような……

とにかくこの序盤の3コマからぶっ飛ばしています。


マンガが面白くて手が離せない、そんな時はこの発明を使え!?

1993年「小学四年生」8月号付録「ドラえもんの発明教室」収録 「中松義郎物語」 p.5


なんなんだ、アゴのせ台って!?

このセンスこそ方倉ワールドの真骨頂!?
3ページも使って、ドラが自らの大発明を図解&自慢していますが、
お皿の上に置いたまま食べたほうがいいと思うけど…。
というスネ夫の冷静な一言でぶった切られます。

そしてスネ夫のコネで中松氏のところに行き、
発明の精神を学んでくるという展開。
伝記としては事実関係に微妙な問題もあるようですが、
ともあれ、「発明は愛である」というポリシーを描き、
小学生にも発明を身近なものとして感じさせる作品でした。

ちなみに方倉先生の描いた中松氏はこんな感じ

この別冊付録では他に
今賀俊先生の「なるほど ザ 発明物語」(ドラは登場しない)や
三谷幸広先生のイラストが添えられた発明コラムが収録されていました。

 ◇

と、いうことで今回は方倉陽二先生による作品を紹介しましたが、
これら三作以外にも多くの学習「ドラ」を手がけられています。
理科の別冊での「あたためられた空気が軽くなる」ことの
解説がわかりやすくて感動したなあ……

関係者インタビューなどによると
画力に加えて知識も非常に豊富な方で、
監修の専門家をしのぐほどだったとか。

それら幅広い知識に裏づけされた、
のみこみやすい解説とともに、
独特の方倉風味のギャグやテンポがスパイスとなって、
飽きさせず、読者を無理なく学習に引き込ませるという
素晴らしい作品の数々でした。

もちろん「ドラえもん百科」が残した影響や
「のんきくん」等、オリジナル作品の功績も忘れてはなりません。

学年誌を離れて久しくなっていたこともあり、
方倉先生が亡くなられていたのを知ったのは
何年も後になってしまったのですが、
本当に惜しい方を亡くしてしまったのだなと感じられます。


 ◇

前回の記事に引き続きまして
ここまでご覧頂きありがとうございました。

拙い紹介記事でしたが、
方倉先生の作品を懐かしんでいただけたり、
知っていただけるきっかけになれば幸いです。

次回はやはり時期未定ですが、
三谷幸広先生の作品紹介を予定。
「ドラえもん学習まんがランド」の国語編が中心になるかと思います。
優しい画と対照的なギャグの「ズラし」方が魅力です。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
1989年生まれですが、僕が小学生の時の学年誌の付録として方倉先生のことわざ辞典がありました。B6サイズくらいの薄いものでした。おそらく毎年どの世代のにも付いていたんでしょうね^^
上述の「手がかかる」ももちろん覚えていますし、「いばらにとげあり」でドラミちゃんがケーキを食べて異常に太るのも印象に残っています。

単行本化された学習漫画をかなり集めていたので、知らず知らずのうちにF先生以外のドラえもんにどっぷりつかっていたんだなあ…と思っています。
イセルーマ
2009/10/22 21:25
こんにちは。
イセルーマさんの年代の学年誌でも、方倉先生の「ことわざ事典」が付録になっていたのですね!
おそらく「ことわざ」という教材が、学習指導要領の変更などにも影響を受けにくいためなのでしょうが、マンガで学べる作品としての完成度も非常に高かったのだろうなと思います。
「太るドラミ」はとってもシュールで、私も印象深いコマでした。この付録で覚えたことわざも多かったように思います。

「ふしぎ探検」や「地球救出大作戦」など、単行本化された作品に関しては、図書館で借りて読んだだけというものが多かったので、買っておけば良かったとすごく後悔しています…
春巻き
2009/10/22 22:39
何年も続けて雑誌の付録として沢山の小学生に読まれてきたんでしょうね…^^

前回取り上げられた理科・社会の漫画や、他にもその学年が習う漢字を覚える漫画も付録として読みましたよ。

F先生の描いた絵ではないと薄々感じてはいましたが、特別気にすることもなく自然に読んでいた記憶があります。僕の世代は小1でF先生が亡くなられたので、ほぼ完全にF先生以外のドラえもんで育った世代です。ドラえもんズの漫画が毎月掲載されてて、雑誌と単行本は別物だと認識していました。昔は雑誌にドラえもん本編が載っていたと知った時はその世代が羨ましかったです…
ただ一方で、F先生のは単行本で誰でも読めることを考えると僕の世代は少し得したかなとも思います 笑
イセルーマ
2009/10/23 22:41
イセルーマさんの年代は小一でF先生が亡くなられてしまっていたのですね…
でも、ドラえもんズ全盛の時代の学年誌も楽しそうで、うらやましく思います。
その一方で、F先生やA先生が新作連載をされていた年代の方をうらやましく思ったりと、我ながら厄介なものだなと反省させられます。

自分(たち)の世代(F先生休載以後の世代)は、「少し得したかもしれない」という発想は目から鱗で、感じ入るものがありました。
次回以降もマイペースに、「F先生じゃないけれど、こんな面白い作品もあったんだよ」ということを伝えられるような記事を書けたらと思います。
春巻き
2009/10/24 14:21

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