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zoom RSS 岡田康則「ドラえもんなぜなに探検隊」1巻感想

<<   作成日時 : 2010/07/24 21:01   >>

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映画ドラえもんのコミカライズ等を手がける
岡田康則先生(藤子プロ)の最新単行本。
「ミニドラにおまかせ!」に続く
「コロコロイチバン!」掲載作品をまとめたものです。

岡田康則「ドラえもんなぜなに探検隊」1巻表紙


前作「ミニドラにおまかせ!」は、
ミニドラとのび太のコンビによる日常を描くと同時に
ひみつ道具の使い方や特徴を掘り下げる作品でしたが、
今回は古きよき、小学館らしい「学習漫画」の系統に連なりつつ、
現代の児童マンガらしい構成とハイテンションが特徴の作品です。


<第1話あらすじ>
22世紀の科学者Dr.ハインナインが
ロボット工場から部品を盗み、
過去へ向かったという。
ドラミとロボット学校校長の要請を受けて
ライト兄弟の時代へと向かったのび太とドラえもん、
そしてサポート役として送り込まれたデータロボットの「Dマン」。
ハインナインの目的が
歴史上の発明家・発見者の魂(偉人ソウル)を吸い取って、
自らが地球一の発明家になることだと知ったのび太たち。
三人は「なぜなに探検隊」を結成して、
ハインナインを追い、偉人たちの魂を守る
歴史冒険を繰り広げる……!


一話約15ページで、
偉人の業績を補足する「人物コラム」が終わりに付く構成。
本編での描写は「こういうことを研究したこんな人が居たよ」
ということが無理なく頭に入ってきますが、
ハインナインとの追っかけっこの方に
やや重きが置かれているような印象です。


正直言って、
人を選ぶ"ギャグ学習マンガ"だな……
と、いうのが一番の感想になるでしょうか。

好みが分かれそうな作品ですので、
「ミニドラ〜」の時ほど単純におススメはしにくいのですが、
個人的には嫌いな感じではありません。
ちょーっとノリについていけない箇所もありますが、
私が歳をとってしまったということなんだろうなあ……

 ◇

閑話休題。

のび太たちが追う「Dr.ハインナイン」は
ハインラインをもじった名だとは思いますが、
作中では次第に「偉人ソウルが手に"入んないん"」
という展開が定着してくる典型的なやられキャラに。

毎回ボロボロになりながらも、
懲りずに湧いてくるというアレですね。

ビジュアルは「パーマン」の魔土災炎似なのがニヤリ。

「ドラえもんなぜなに探検隊」よりDr.ハインナイン。ヒゲがチャームポイント(?)

岡田康則「ドラえもんなぜなに探検隊」1巻. p.63. 第4話「電話の発明を手助けせよ!!」より


のび太たちも「なぜなに探検隊」の名称に相応しく
専用コスチュームで出動します。
エアコンスーツなので、どの時代季節でも対応できるという
さりげないフォローも兼ねるコスプレ。

探検かつ探偵ルックというのが良い組み合わせ。ちゃんとのび太のシャツは毎回変わるよ!

岡田康則「ドラえもんなぜなに探検隊」1巻. p.57. 第4話より

ドラの左に居るのがPマンならぬ「Dマン」です。
こちらも「パーマン」からとったデザイン。
空を飛ぶにはタケコプターではなくマントを使用します。

左上は「虫のしらせアラーム」改良型。
ハインナインの出現を知らせる道具ですが、
半ば探検隊の一員という位置づけでしょうか。
ハインナインの尻を刺すというオプション機能?を披露。

ドラミとロボット学校の校長は一話以来(1巻では)出ていません。
ジャイアン・スネ夫・しずかは
物語のはじめと終わりの日常パートにて登場。
のび太のママは納豆の話でDマンと粘つく戦いを繰り広げました。

 ◇

とにかく印象に残るのはテンションの高さ。
現代の児童向けギャグマンガの勢いを
「ドラえもん」に、「学習漫画」に持ち込むという
おそらく相当に高度な技術が用いられているのはわかります。

が、

ていうかどこに向かってしゃべってるんだ

岡田康則「ドラえもんなぜなに探検隊」1巻. p.183. 第12話「カミナリとおやじギャグ」より

ええと、彼はベンジャミン・フランクリンで、
凧を使った実験中。
カミナリの正体について三択問題を出し、
正解は3番(サンダー)という……

カミナリ→オヤジ→オヤジギャグという
わかるようなわからないようなノリにポカーン。


いや、実際のフランクリンがそういう方だったら申し訳ないのですが、
少なくとも日本語じゃないと通じないギャグではあると思います。

背景の「ドーン」という描き文字がまたねえ……
O田さん的なアレじゃなくてカミナリの音なのかな?


その他、尻や馬フンなど適度なお下品描写も取りいれまして、
単なる学習漫画ではなく、
しっかりと児童マンガの基本をおさえた作品なのだろうことは
うかがえます。

私のような頭の古い大きなオトモダチはともかく、
実際の子どもたちの人気はどうなのでしょうか。

 ◇


とはいえ、「ミニドラにおまかせ!」の時に感じた
岡田先生の構成力の高さは健在。

どうやらこの作品も
「ひみつ道具紹介マンガ」としての一面を継続しているようで、
事態の打開には原作に登場する道具が多く用いられています。

とりわけ面白かったのは「きこりの泉」の使われ方。

女神ロボットがツンデレっぽく見えなくもない…?

岡田康則「ドラえもんなぜなに探検隊」1巻. p.113. 第7話「リンゴはなぜ木から落ちる?」より

ニュートンを狙いに来たハインナイン。
やっと手に入れた偉人ソウルをリンゴと一緒に
「きこりの泉」に落としてしまい、
大きなリンゴを持って現れた女神ロボットにひとこと。
「ち、ちがう。そんなものいらん! 偉人ソウルを返せ!!
 このブス女神〜〜〜!!」

うわ、女神さまにブスって言っちゃったよこのひと。
これは新しい……

そして正直者にはごほうびの一撃が。

原作改変といえなくもありませんが、
個人的には結構楽しい展開でした。
怒った女神さま可愛いよ女神さま。


このように、原作にある道具を使って
新たな活用法や物語を展開するあたりは、
「ミニドラ〜」を引き継ぐ要素でしょうか。
「サーカスぐつ」などマニアックな道具も登場します。

それでいて、
グーテンベルク、ガリレオ、アンデルセン、コロンブスなど
歴史上の偉人たちの功績を描く学習漫画としての側面、
そしてのび太たちとハインナインの攻防に絡む
ハイテンションギャグ、
タイムスリップものとしての「すこしふしぎ」感、冒険要素、
それら全てを盛り込もうというのだから、
凄いことこのうえありません。

正直なところ、全てを消化しきれずに
こぼれている部分もあるような気がしますが、
それでもマンガとしての技術は相当高度なものでしょうか。

特に、第4話「電話の発明を手助けせよ!!」での
「本部」と「昆布」を聞き間違えるボケが後の展開で生かされてるとか、
そもそも「聞きとる」というのが電話の発明になぞらえてあるのかなとか
「タイム電話」「出前電話」という電話系ひみつ道具の紹介をからめるとか、
しかも「出前電話」が事態打開のキーアイテムになってるとか、
岡田先生の構成力にはうならされるばかりです。

  ◇

うーん……「ドラえもん」じゃないオリジナル作品を描かれても、
きっと面白いんじゃないかな……
むしろその方が飛躍できるし正当な評価を……?
でも今も「ドラえもん」という作品を、
違う形で続けてもらえるのは嬉しいしありがたいし……

うーむ、うーむ。

と、まあついついフクザツな気分にもなってしまうわけですが、
F先生によらない"学習マンガドラ"」が好きな人間としては、
今後も注目のシリーズになりそうです。

そもそも「学習マンガ系のドラえもん」が、
児童書じゃなくって普通のコミックスとして発売されるのって
珍しいですよね……? GJ!
ビックコロタンとか、児童書系だと置いている書店が少ないからなあ。
そのおかげというか、購入したのは実はア○メイトだったりします。

そんなこんなで、
比較的入手がしやすい作品ではないかと思うのですが、
発売から約1ヶ月を経ても
ネット上にあまり感想は見あたらず……
(見つからないだけかもしれませんが)

この本の存在自体が
あまり知られていないのではないかとも考えられます。
私も店頭で見かけてから知ったので、同様なのですが。


「なぜなに探検隊1」、って1巻って意味だよね、
2巻……出るよね? 


例によってかなり偏り気味の文章になっていますが、
この記事がこの作品について、
少しでも参考になれば幸いです。


 ◇

<収録一覧> ※カッコ内筆者補足、登場偉人

第1話 結成、なぜなに探検隊!!  (ライト兄弟)
第2話 本の神さまを守れ!!  (グーテンベルク)
第3話 進化のナゾにせまれ!!  (ダーウィン)
第4話 電話の発明を手助けせよ!! (ベル)
第5話 めざせ、夢の新大陸!!  (コロンブス)
第6話 障子の中の大発明!!  (豊田佐吉)
第7話 リンゴはなぜ木から落ちる?  (ニュートン)
第8話 ねばねばベトベトの大合戦!!  (源義家)
第9話 「ピザ」の斜塔で大実験!?  (ガリレオ)
第10話 世界最高の「賞」はなぜ?  (ノーベル)
第11話 童話の世界で大あばれ!!  (アンデルセン)
第12話 カミナリとおやじギャグ  (フランクリン)

各話末に「人物コラム」1ページつき

「コロコロイチバン!」08年第19号〜10年5月号掲載作品


<書誌情報>

てんとう虫コロコロコミックス
「ドラえもんなぜなに探検隊」 第1巻

著者 藤子・F・不二雄プロ  (奥付表記)

    岡田康則
    原作/藤子・F・不二雄  (表紙・扉表記)

2010年7月3日初版第1刷発行
小学館
定価:本体390円+税
ISBN:978-4-09-141100-6

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