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zoom RSS ドラえもん11年1月21日放送感想(のび太のペットは紙の犬!?)

<<   作成日時 : 2011/01/22 23:57   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 6

ついに念願のイヌを飼いはじめたのび太! 
その名はワニー、紙に描いたイヌらしくないイヌ。
けれども他のどのイヌにも似ていない
のび太だけのイヌとして、信頼と友情を育んでいく。
例え「紙」に「ペン」で描かれた生命であっても……


のび太のペットは紙の犬!?
 →プラス2巻ほか「ペットペン」をもとに、オリジナル展開


紙に描いた動物がそのままペットになるという
「ペットペン」のお話。
原作ははっきり言って唐突というか、
ミもフタもないオチだったのですが、
今回のアニメ化にあたっては、
「紙にペンで描かれたイヌ」
「飼い主に似た性質」
などの要素を拾い上げ、
その意味を独自の解釈で、広げ、
さらなる魅力ある物語に仕上げられています。

確かに短い原作を引き延ばしすぎという感はありますし、
感動させる狙いが明らかすぎる部分もありました。

が、それは決して「安易な感動もの」ではなかった印象。
誇張も多いですし、極端ではありましたが、
ワニーは紙にペンで描かれた生命体であることは紛れもなく、
水に弱いし風にも弱い、
物理的破損もするし滲みもする存在なのは、
ある意味設定の時点から
提示されていたことなのではないかと思います。
滲むかどうかは原作では不明ですが、
すいとり紙があるので、
どんなに未来的でもインキ的な性質があるのかな、と。
あの呆気なさが
逆に作られた生命としての儚さを感じさせるかもしれません。
本物の動物でも同じことですけどね。

そのあたりの、外見も素材も性格も、
何から何まで普通のイヌと違う部分と、
それでも変わらないもの、普遍的なものを、
いかに描くかということに力を入れていることが
とても良く伝わって来ました。

それによって照らされるのが、
のび太というキャラクター像、その魅力でしょうか。
私はのび太好きなので、
主観が入り過ぎなのは自覚していますが、
それでもワニーに接する姿を見るたびに、
「ああ、のび太ってこういう少年だよな」と納得し、
さらにイメージを深めることができました。

イヌに見えない紙のイヌでも、ちょっとお馬鹿でも、
変わらず接し、本気で愛し、大切に想い、泣くことのできる、
そんな少年なんだろうなと思いますし、
だからこそ彼が好きなのです。
そんな想いを改めて確かめることのできる、
素敵なアニメオリジナル展開だったと思います。


 ◇

と、なんだか物凄く恥ずかしいことを述べてしまった
気がしますが、まあそういうことで。
「この原作だったらこういうのも観てみたいなあ」
という期待が想像以上に実現されたアレンジだったので、
全体的に満足な感じです。

以下、その他細かい部分について補足など。


・「ペットペン用の大きな紙は
これ1枚しかないんだ」
(ドラ)

さり気ないようで大きな意味を持つセリフかも。

原作で「すいとり紙」を出したのは
オチにつなげるためでしかなかったのですが、
そこから「代わりの紙はない」と読み取ったことについては、
「なるほど!」と唸るばかり。

これが専用紙であるのかは分かりませんが、
買い替えも決して不可能ではないのでしょう。
が、このときドラが持っていたのは1枚だけだったという、
その事実が重要なのではないかと思います。
描き損じて丸めてポイとはできないこと、
文房具屋、未来デパートで買ってくれば良いのか?
でもそれは「同じ紙」なのか、あるいは
買い替えるという行為そのものについてなども
考えさせられるものがあります。


・紙のイヌ

ワニーが「生まれ」、のび太にじゃれ付く場面。
くるくる回っている際に
何も描かれていない「裏面」が映るのですが、
これにはハッとさせられました。
原作の時点から分かっていたはずなのですが、
本当に「紙に描かれた絵」なんだなと……
平面である「マンガの中の絵」では実感しにくいですが、
こうして動きと奥行きを持って表現されると、
改めて「紙のイヌ」であることを意識させられます。

それでいて家出の場面など、
紙が上下、左右に振られる様子や伸び縮みに、
本当に生きて歩いているイヌのような
手足の躍動感がありました。見事!


・「だってどの犬にも似ていない
ぼくが作ったぼくだけの犬なんだから」
(のび太)

何て鳴いたら良いのかも分からない、
不完全な存在。
「ワン」ではなく「ワニ!」と鳴き、
とてもイヌには見えない不恰好な外見、
「裏面」には何も描かれていない、どこまでも紙の生命。
何もかも本物のイヌとは程遠いにもかかわらず、
その存在を丸ごと受け止めるのび太のセリフ……
ぐっと来ました。

「イチの国」の話で、イチが子どもでも大人でも、
イヌでもイヌ人間でものび太の態度が変わらないことが、
とても印象的だったのですが、
今回の話でも「やっぱりのび太だよなあ」という感じです。
脚本も絵コンテも演出の方も異なるのですが、
のび太や今のアニメドラが持っている雰囲気を、
一つの作品として共有できているんだなと感じます。

台風の子どもでも恐竜でも木でも、
分け隔てなく愛情持って育てることのできる、
原作ののび太像からも逸脱することなく、
さらに発展されているようにも思えます。


・ドラの毒舌

「覚えが悪いね、飼い主に似て」
「逃げ足が速いのはのび太くんと一緒だ」等々。
ドラの言うことはいちいち冷たいようですが、
それがもっともであることも
のび太はわかっているのでしょう。
だからこそ、共に怠惰に転がらずに、
より良い方向を目指せるわけで。

のび太とゲストキャラの交流が軸になる話は、
ドラの扱いが微妙になりがちなのですが、
今回のドラは陰ながら支える良ポジション。
クライマックスでのび太をグッと引き上げた丸い手、
険しい表情、涙を浮かべる様子も印象的です。

無論、「犬を飼うこと反対された100回記念」で
クラッカーを鳴らすようなヒドさも含めて
ドラえもんですけれどね。目にあんな機能があったとは……


・「でも、ぼくは見捨てないよ。
キミを立派な犬に育て上げてみせるからね」
(のび太)

なるほど、こんな解釈が……
いや、セリフの大筋は原作と同じなのですよ。
でもそこに大原さんの演技が加わって、
「紙に頬を寄せる」のび太の画が映し出されると、
このことばにこめられた想いを
いろいろ考えることができます。
飼い主に似たダメ犬だからこそ、ならではの共感とか、
「あきらめずに努力はしなくちゃいけないんだよな」
とたまには考える姿が思い出されました。

「忠犬」や「利口な犬」の時とは
また違った切り口と関係性を見ることができて、
差別化もはかれていた気がします。


・高台の坂の上、長く伸びる影と夕日

少年がロープの先につないでいるのは、紙のイヌ……
むしろワニっぽい、飼い主に似て頭も良くない。
でもそんなのは関係ない!というように、
「ただそこに在るふたり」を映し出す影。

ずっと眺めていたい、美しく情緒ある場面でした。
トリハダものです。


・枕を濡らし泣き寝入りしたのび太

まつげまつ毛睫毛! まぶた!奥二重!?

……いや、この場面でののび太の可愛さも殺人的ですが、
それだけではなく。

「泣きながら眠る」「枕を涙で濡らす」とは
よく耳にする表現ですが、
実際にそれをちゃんと描いているというところが
何とも胸に詰まります。

こぼれるという感じではなく、鼻や頬を伝っていくのです。
枕に涙が広がって滲みていくのです。
その部分だけ冷たく、生ぬるく、
気持ち悪い感触だけれども、
そんなこともどうでも良くなるほど、
悲しかったり、心配だったり。
そんな感覚が伝わってくるような、蘇るような、
生身の人間らしさを感じられる場面でした。

その紙の身で、そっとのび太の涙を拭うワニー。
こんな要素も、多々ある「動物感動もの」の中でも、
この作品、この話、
この「ドラえもん」というアニメでしかできないものに
なっていたでしょうか。


・もう…いいよ……

川に落ちたのび太を助けに水に飛び込んだワニー。
が、その身は破れ描線は滲み、
鳴き声も弱々しくなっていく。
そんなワニーを見て、のび太はやめてくれと叫び、
自分の生命の危機よりも
「もういいよ」と語りかけます。

……この人はどうしてこんなに
優しくて純粋なのでしょう。
大原のび太はただ優しいというだけでなく、
儚さと危うさをも併せ持っている気がします。
あのかすれた声の叫びがどうしようもなく
胸を苦しくさせました。

またスタッフも良い意味で容赦がなくてですね、
躊躇なく水没させるのですよ。
ほんの数秒だけれども、
ワニーもろとものび太の頭まで完全に川の中に……

ワニーにはのび太を助けることなんてできないのです。
わが身を犠牲にして、
それでも時間稼ぎしかできないのです。
どこまでも紙に描かれたイヌであることから
逃れられないのです。
自らが消えてしまう=のび太を助けきれない
ということも分かってはいたのでしょう。
それでも、飛び込まずにはいられなかった。

確かに川への落ち方も不自然で、
極端な展開だなという気もします。
けれども自分よりもワニーを案じるのび太が
普段と別人であるとは思えません。
これまでに観てきたお話の積み重ねから、
こういう少年なんだなと自然に納得がいきます。
そんなのび太が愛情を持って育てたワニー。
のび太を慕うでしょう、助けようとするでしょう。
紙にペンで描画された生命であっても、
その絆は本物のイヌと変わりないはずです。


今回のお話で描きたかったのは
そのへんではないかなと。
紙だから絵だからワニ似でのび太似だから
なにかと規格外で、普通のイヌとは程遠い。
だからこそ、変わらないものが浮き上がるし、
のび太の魅力も引き立つ、と。
そんなところがとても
素晴らしい話だったのではないかと思います。


・キミのなかののび太

ワニーが滲み消えたあとの展開は、
堀江美都子さん歌う「キミのなかののび太」にのせて。
これがまた卑怯であり反則でもあると思いますが、
良いものは良いです。

ラストの一言以外セリフがないことで、
のび太の夢である可能性も考えられますが……
それも含めていろいろ想像する余地のある、
余韻ある終わり方でした。


あえて野暮を承知で少し述べてみますと、
個人的にはあの描きなおした「ワニー」は
元の「ワニー」そのものでは
ないのではないかなという気がします。
吸い取って消した未完成のウサギイヌは
居なかったことになっていましたし。

ただ、滲みぼやけた線は
うっすら残っていたところが巧いなあという感じでした。
ペットペンで描いた動物の上にさらに描画したら
どうなるのか、というのは不明なのですが……
もしかしたら僅かなりとも
繋がるものはあるんじゃないかとか、
ワニー2世とも言えるんじゃないかとか、
さまざまに空想が膨らみます。


そしてもうひとつ意味深そうなのが、
「ワニー」だった紙に再び描いたということ。
セロハンテープで補修してはありますが、
くしゃくしゃです。
見た目はさらに悪くなりました。
もうドアの隙間をくぐり抜けることも
出来ないかもしれません。
他のイヌとの喧嘩も危険ですし、
水は今度こそ致命傷になるでしょう。
のび太との抱擁すら注意が必要かもしれません。

でも、それを承知でのび太は
この紙に「ワニー」を描いたのですよね。
(夢でなかった場合)そこで終わらせなかった選択には
本当にそれで良いのかと感じないでもありませんが、
のび太が決めたことです。
スネ夫がパンダを描いた紙を使っても良かったはずです。
でもそうはしなかった。
意味がないと判断したのでしょうか。

客観的に考えて、あの紙の状態では、
そう遠くないうちに本当の別れがやってくると思われます。
そのときにのび太はどうするのか……
その部分はアニメでは描かれることはありませんが、
きっとこれまでの「少しふしぎな友だち」との別れと同様、
乗り越えていくのだと思います。
のび太の中ののび太」の時のピー助やキー坊のように、
心の中に居場所を残して。

 ◇

……なんだかポエミーな感想になってしまいましたが、
単純に「消えちゃった、悲しい」でも
「生き返った!嬉しい」でもなく、
お茶濁しというかずるいなという感じはします。
が、やがて訪れる別れは予見されていますし、
夢である可能性もあるわけで、
こうしていろいろ想像したり考察したり、
友だちや親子で感想を語り合う楽しみ方も
あるかもしれません。

とにもかくにも、
原作で提示された要素を使いながら、
その展開を広げ、キャラクターを深め
逆に新たなテーマを提示するという
実に見事なお話でした。
のび太ファン的にも終始見所ばかりで、
まとまりもなく語り尽くせません。

ここまでお読み頂きありがとうございました。

 ◇

その他思ったことやツッコミも
書こうかと思ったのですが、
長くなりすぎた挙句に
ノリが違いすぎるので、別記事にしました。

「のび太のペットは紙の犬!?」おまけ

 ◇


次回は1月28日「のび太の町が雪山に
(大雪山がやってきた)

二本立てではなくこの話だけということで、
どのようにオリジナル展開を加えてくるかに
注目です。
巻き込まれる人が増えそうなので、
そのあたり面白いことになるのかも。

のび太の長ズボンとスネちゃまの受難は必見です。

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
初めまして春巻きさん、高山洋子と言います。
以前からよく拝見していましたが、勇気を出してコメントしてみました。


さて、未だわさドラに対する批判や不評が多い中、こちらのブログは感想を面白く時には辛口で、冷静に分析されながら書かれていてとても楽しいです。


私ものび太の(特に大原)ファンなので感想に共感出来る部分が多くとても嬉しいです、話は勿論感動しましたが確かに今回の寝顔は最強でしたよね(^^;

ドラえもんの活躍もあってジャイスネもいつものポジションで全く違和感なく。
あと睫毛ですが記憶の中では今回が初めてかと(笑)


長くなるのでこの辺で失礼します。

これからも楽しみにしています。


高山洋子
2011/01/23 14:00
こんにちは。
コメントありがとうございます!
実は私も高山さんのサイトを以前から拝見させて頂いておりまして、のび太好きを自覚したのは高山さんの影響による部分が大きいです。本当にありがとうございます。
まつ毛についてはとても衝撃的で、破壊力が尋常ではありませんでした。映画もありますし、これからどんなのび太が見れるのかますます楽しみです。
これからものんびり感想を書いていけたらと思いますので、たまにのぞいて頂けたら幸いです。
春巻き
2011/01/23 15:30
連投失礼します

サイト見ていて下さったんですか?
とってもびっくりしてます!はじめましてって書いたけど実は前に投稿してたりします?もしそうなら大変失礼しました。

何処から来られたのか気になった小心者です(^^;
でもとっても嬉しいです
ありがとうございます。

高山洋子
2011/01/23 17:58
ご迷惑おかけしておりましたら申し訳ありません。
最初におうかがいしたきっかけは記憶が定かでないのですが、いつも素敵な作品をありがとうございます!
春巻き
2011/01/26 22:38
コメントが遅くなりました…改めてこんにちは!今回の「ペットペン」の話は感動しましたね。原作ではコリーを描いていましたが、今回はワニっぽい犬に変更するだけでなく、紙という特性を生かしてここまで感動的なストーリーを作り出すなんて…やっぱりドラえもんは素晴らしいですね!これを[無理に泣かせようとしている]とか、[話がクサい]というような人が許せません!…話がズレました。
もう1つの感想も読ませていただきました。ドラえもんが助けにくるタイミングがすごい!…というかもう少し遅かったらのび太(ワニー)は死んでたよ…書き直すに関しては、どうやら[線の繋ぎ目がなくなって、完全に絵になった]状態から生命が宿るようです。でも、元の絵が少しでも残っているなら、同じ動物(ワニー)になると思います。完全に消えているわけではないので。
りっくん
2011/01/29 12:55
こんにちは。
今回もコメントありがとうございます。
紙という特性を生かしているという点は本当に良かったですね! 感動ものであっても無理やり感は少なく、積み重ねの上にあるお話という感じでした。
ワニー復活に関してもなるほどと考えさせられます。元の絵が微妙に残っているという描写がさりげなくも見事ですね。
春巻き
2011/01/29 14:28

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