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zoom RSS 映画ドラえもん「新・のび太の大魔境〜ペコと5人の探検隊〜」感想その1(総合編)

<<   作成日時 : 2014/04/01 23:18   >>

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今年もやってきた映画「ドラえもん」!
ということで32年の時を経て新たな作品として公開された
「新・のび太の大魔境〜ペコと5人の探検隊〜」
の感想です。
こちらの記事では全体的な感想を
(ある程度)真面目に述べていきます。
今更になってしまいまして申し訳ありません!

※記事公開日2014年7月13日

さて、今作の感想をひとことでまとめると……


原作に忠実! 
謎だったところもしっかりフォローされている!
でも…ちょっと長くなかった?


に、なるでしょうか。


今回の「新魔境」は驚くほど原作に忠実なつくりです。
おそらく「あの場面を削ったのか!」という批判は
あまり出ないでしょう。
それでいて「原作そのまま単純に平坦に仕上げただけ」
ということにはなっておらず、
原作後半で描写が無くなってしまったペコとのび太の交流や、
不明な点の多かった犬の王国の文明と生活を掘り下げており、
映像や音楽の美しさ、戦闘シーンの迫力は
2014年の最高技術をもって完成されています。

でも、個人的には少し長かった?
いや、決して退屈ではなかったのですが、
なぜか上映時間が長いと感じてしまいました。

ならばどこか削ればよかったのかと考えると、
それもなかなか思いつかない。
むしろもっと情緒的な場面、
キャラクターの心情に迫る描写が観たかったと思うほどで、
うーむと腕を抱えて悩んでしまう次第です。


そんなこんなで、突出した新しさはありませんが、
良いところは十分すぎるほど?そのままに、
さらに物語を魅力的に深めている映画だったというのが
今回のおおまかな感想です。


以下、もう少し具体的に述べていきたいと思います。
ネタバレを含みますのでご了承ください。



・のび太とペコの関係性

今回一番良かったと感じたのはこれでした。

のび太にしてみれば、
犬を飼うという念願がかなったのに、
その正体は犬の王国の王子だとか、
悪大臣に全てを奪われた身だとか、
衝撃の事実が次々明らかになり、
果たして彼の気持ちはついていけたのだろうか?
というのは原作で気になっていたところでした。

ペコにしてみれば、のび太は帰還のための手段以外に
どんな存在だったのだろうか?ということも。
結果だけ見れば利用していた訳ですしね、
権力争いやらダブランダーの世界征服の野望に対し、
「ぼくたちに何ができるっていうのさ!」という
スネ夫の叫びも正論に違いないのです。

それでものび太がペコの力になろうとするのはなぜか。
ベタですがやはり、大切な存在だからなのだろうなと。
飼い犬であろうと異種族文明の王であろうと、
彼にとっては変わらずに。

そのあたり、今作ではび太とペコの交流が
出会いから別れまで丁寧に描かれていたことで、
画面から自然に伝わってくる構成となっていました。

即席エレベーターで一緒に木に昇るときも、
ワニに囲まれたペコを助けに河に飛び込もうとしたときも、
決戦前夜、不安なペコを不器用な言葉で励ましたときも。
ペコを気にかける様子が変わらずに続いていたことで、
ありのままのペコとして受け入れていたのだろうなと
感じられます。

別れの場面での「おなかがすいたら、いつでもおいで」
というセリフについても、
彼の中では決してペットとして護る存在のままだった訳ではなく、
立場とか事情もちゃんと理解した上で、
それでも、ペコが首をかしげる仕草が、
野比家で暮らしていた頃と全く変わらなくて、
改めてお別れしなくてはならない事実に
気持ちがあふれ出したのかなあと
ついつい感情移入して見入ってしまいました。


もちろん正体を明かしたペコ自身が
誠実に協力を依頼したことや、
チッポに対する態度で(手作りの剣を褒める描写等)、
のび太たちの信頼を勝ち取った部分はあるでしょう。

しかしペコにとってものび太は命の恩人である以上に、
友人としての関係をちゃんと築けていたこと、
野比家で「ただの犬のふり」をしていた時間が
単なる帰還のための手段ではなく、
大切な思い出になっていたんだということが
あの抱擁シーンで感じられました。

いや、「なんかいい道具あるでしょ」と言い放った、
原作のちゃっかり王子サマも捨てがたいのですが。
今回の映画のテーマである
「友情」という方向性で話をまとめる上でも、
のび太とペコの描写が増えたのは本当に良いアレンジでした。



・ガキ大将、ジャイアンこと剛田武の弱さと強さ

そして「大魔境」の主役と言っても過言じゃないジャイアン。
今作でも物語の中で大きな存在感を放っていました。
しかし…あえて言います、
もっと追い詰めて欲しかった!

そもそも彼はなぜそんなにも冒険にこだわったのか。
ダレと萎えが繰り返される序盤、
あくまで遊びの延長としての冒険をもとめる面々に、
ガキ大将としての面目丸つぶれな猛獣ラッシュ。
誰一人彼の身を案じることなく、
道具無双で盛り上がっていれば、そりゃあ面白くないですよ。
そんな夜に「目覚めよ、ジャイアン」と
名指し(本名じゃないけど)で神さまに呼びかけられれば、
張り切るのもやむなしということです。
宝が目当てじゃないのでわら半紙にサインペンでも構わないのです。

言ってしまえば、自分のプライドとか満足のために
のび太たちを冒険に引っ張り出したジャイアン。
その上、自らの不用意な行動でピンチを招いたとあっては、
胸のうちにのしかかる重さは相当なものでしょう。

そんな想いを吐き出すこともできずに、
「不機嫌」な態度に徹するジャイアン。
こらえ切れずに浮かべた涙に寄り添ったペコ。

ペコもまたのび太たちを巻き込んだ責任を感じ、
さらにはジャイアンを追い詰める原因となったことを
自覚してうなだれているという描写は
なるほどなあと思えました。

今作のペコは尊大な態度は控えめに、
国王としてのあり方を迷い悩む
人間味(?)を増したキャラになっているので、
「ペコとのび太」が人々の幸福を願う王の要素だとしたら、
「ペコとジャイアン」は人々を率いる王、
守り戦う王の要素を重ねていると見ることもできるでしょうか。

ジャイアンと拳で語り合うシーンなどは、
ペコの物語とジャイアンの物語が
うまくひとつになっているなと感じました。


ただ、個人的にジャイアンに
どこか感情移入しきれない部分があったのは
なぜかなとも思います。
原作や前作の映画を知っていれば、
彼のその葛藤は十分にわかるのですが、
今作だけで観たときはどうなのだろうかな、と。
「なぜジャイアンは不機嫌で黙りこんでいるんだろう?」
という、のび太たちの視点に近い、
ある種突き放した画面になっていたように思えるので、
もっとジャイアン視点のカットも観てみたかったです。

あとはライオンに襲われるところで、
死ぬ覚悟で既に身を投げ出してしまったことで、
終盤の爆撃の場面で集約されるはずの感情の盛り上がりを
いささか削いでしまったかなあという気がします。
ここで囮になって死にかけたにもかかわらず、
のび太たちとの関係が全く進展せず、
スルー状態だったことへの違和感もありました。

木村昴さんの「友達」が流れるクライマックスは
期待以上の素晴らしさでしたので、
そこへ至るまで、もっとぐりぐりと痛めつけ、
感情を積み上げて欲しかったなという
ちょっとゼイタクな要望かもしれません。



・バウワンコ王国の文明

改めて言ってしまえば、
この地球上に未発見の犬の王国がある、というのは
かなり無茶な設定です。
しかしその無茶を「そういう夢の世界」にするのではなく、
あるいはあり得るかもしれないと、
一抹のリアリティを出すのがF作品のたまらないところ。

そこで用意されたのが「ヘビー・スモーカーズ・フォレスト」、
「地殻変動によって外界から隔絶された世界」という
諸設定なわけですが、
今作ではさらに犬の王国の文明について描写が増され、
そこに暮らす種族の実在感を深めていました。

とりわけ明確になったのは、
「高度な文明を有しながらそれ以上の発展を望まず、
技術を封印した」という部分。

原作でもなんとなく示唆されていたのですが、
今回映画を観てはじめて、
「そうだったのか!」とわかったことも多いです。

ペコのペンダントから巨神像を映し出すときは
雲やら雷やらが壮大に演出されていましたが、
あのあたりの技術が「雲で覆い隠された王国」に
つながっていたんですね、おそらく。
中からは見えても外からは見えないという
ドラえもんの「マジックドーム」に似た性質を持つのでしょうか。
王国内からは青空と光が見えるということに
故に種の発展が成しえたことに改めて感動しました。

他にも崖に囲まれた地形や、
湖から川が流れ出しているという設定から、
「日常生活に水車の動力を活用していると広げたことには
なるほどなるほどーと納得してうならされました。
近代化の道は選ばずとも、
築き上げてきた王国の豊かさや美しさを感じられます。

そうしたバウワンコ王国の穏やかな暮らしを描写しているからこそ、
後のダブランダー大臣やコス博士の企てが酷さを増すわけで……

「『空飛ぶ船』と『火を吐く車』程度の兵器で
人間世界に攻め入ろうとするなんて笑っちゃうぜ」
と、いうようなツッコミはよくネタにされていましたが、
そもそもの問題はそこじゃなかったんだなと思える構成でした。
今回チッポの両親が連れて行かれる様子や、
住人が兵器製造をさせられている描写を観て、
バウワンコ一世が危惧したこともわかったような気がします。

現実的には小国の存続には問題も多いのでしょうが、
個人的な野心のために国民と産業を犠牲にすることは
正しくないということが、
おそらく子どもにも自然に伝わるようになっていたと思います。

のび太たちにとっても、観客にとっても、
来たばっかりの異種文明国の政変なんて
「正直どうでもいい」となりかねないところでありますが、
そこに暮らす人々の描写に厚みを増していることで、
その平和を乱すものへの怒りも湧いてくる構造となり、
ペコに力を貸す話の流れにも納得がいくものでした。


正直、「遠吠え砲」は「やべえ…強力すぎる…」
という感じもしましたが。
またひとつ語るネタが増えるから良し?

あと、巨人像の超文明ぶりは
元々大概なんですが、
遠吠え砲で撃たれてから起き上がる場面では
ファンタジックな
「想いの力」っぽく見えてしまったのが残念です。
「巨神像のあらゆる動きが記録されている」とのことですし、
ペコのペンダントを通じて
思念が動力の増幅とか再起動につながったと
脳内補完してみました。



・まとめ〜みんなの力で「心」を動かす物語

ということで、今回の大魔境は
全体を通じて原作に忠実なつくりではありますが、
ペコが悩みも迷いもするキャラクターとして描かれたことで、
よりのび太やジャイアンと心を通わせる過程が重要になり、
バウワンコ王国を取り戻せたのが、
仲間たちの協力あってのものだということが明確になっていました。

巨神像の起動が文字通り
「心を動かす」というギミックになっているのも
元々そういうことだったのでしょう。
チッポの呼びかけに王国の人々が立ち上がるシーンは
胸の奥が熱くなりました。

「良い王様になる」とはどういうことか、
のび太との会話は若干空回りしていたのが惜しいですが、
一人だけで抱え込んで突っ走ることではないのだ、と
ジャイアンの物語に重ねていたのも良かったです。

 
 ◇

しかし、良かったがゆえに欲が出ます。 
正直なところ、
「そのまま次の回のチケットを買いに走る」ような出来を
期待していたのもまた事実です。
「心を動かす」の他にも、
「約束」、「お腹がすいた」等のキーワードを
もっとクローズアップできたんじゃないかなという気もしました。

私はテレビ版で八鍬監督が担当した
夜行列車はぼくの家」や「重力ペンキ」が大好きで……
ああいう情感たっぷりの画面を楽しみにしていたのですが、
常にセリフで埋められていたというか、
時間的に目いっぱいな感じがしたのが少し残念でした。
それでいて、上映時間を「長い」と感じてしまう、
矛盾した印象も持ってしまいました。

どこが悪いということはありません、
むしろ原作で好きだったところを改変せずに、
後半のび太が空気になるとか、
ペコになんだか連れまわされているだけに思えるとか、
バウワンコ王国がどういう世界かよくわからないとか
そういう不満点を改善・フォローし、
友情をテーマとした物語として
しっかりと物語の軸を統一することに成功した
素晴らしいリメイクでした。

なんだかうるさいことも述べてしまいましたが、
出来が良かったからこその
「もっと観たい!」という感想なわけで。

テレビ・映画問わず、八鍬監督の今後の作品を
楽しみにしたいと思います!


もうちょっとテンション重視の実況風感想は次の記事にて。
玉子さんの可愛さや電光丸についてもそちらで
ワーワーブツブツ語っておりますので
よろしければご覧ください。
「新・のび太の大魔境〜ペコと5人の探検隊〜」感想その2(実況編)


大変公開が遅くなりましたが、
ここまでお読み頂きありがとうございました。

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