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zoom RSS 映画ドラえもん「新・のび太の日本誕生」感想その2 〜思い出せ!あの日の感動!

<<   作成日時 : 2016/03/31 05:28   >>

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祝・BD&DVD発売! 
こちらの記事では映画「新・日本誕生」について、流れを追って実況風に愛を語ってみたいと思います。

ネタバレ&長文であることをご注意ください。

全体をざっくりまとめた感想はこちら
→「感想その1

初日舞台挨拶感想はこちら

 ◇

●上映開始〜ククル登場!
いよいよはじまる! 今年はどんな冒険だろうか!?
おお、とんがった山が中国っぽいなあ。
魚を捕っているのは……ククルだーっ!!
また会えたね! すげー美少年になってる!
うぉー驚異的身体能力!
魚を捕まえた喜びにククルクルクル駆け回って……

よく動くアニメーションの気持ちよさと、21世紀に帰ってきたククルの魅力に心が早くも鷲づかみにされていきます。
時空乱流に吸い込まれるククルが、キーアイテムであるヤリを突き刺して抵抗しているのも伏線だったのかな。


●ペガサスへの憧れ
ママにお説教を受けるのび太。
テストの裏にペガサスの落書きが……
ああ、ママがゴリゴリと消しちゃった!
これはつらいなあ。
今作ののび太はペガサスを元々知っていて、憧れている設定なんですね。
よく見ると部屋の壁に絵が飾ってあり、パパは画家志望だったことも思い出されます。


●のび太の部屋の小物
ドラが読んでいる「ゴロゴロ」にペコのイラストが!
机にはバウワンコ王国の巨神像と、銀河防衛隊のステッカーが貼ってある!
今年も過去作の小ネタがちりばめられているので、探しながら観るのも楽しいです。
棚にある「UFOすき」というタイトルの本が気になる……

ハンガーにはアニメ版でおなじみの緑色のパーカーが。
その他ダーツの的や「人生いろいろゲーム」が出しっぱなしだったりと、子ども部屋のリアルな雰囲気が出ていました。
家を出て広い世界へ旅立つことの対比なのか、のび太の部屋はちょっと狭く描いてあるようにも見えます。


●オープニング映像
手がけたのは「宇宙英雄記」の大杉宜弘監督!
石ヤリをホウキに見立てて飛んだり、カラフルな水玉や、宇宙に浮かぶドラ焼きなど、過去の映画やテレビ版OPのオマージュっぽい要素があってわくわくします。

原始モノといえばお約束の"マンモスに追いかけられる"の図もバッチリ。
そうそう、原始と言えばやっぱりコレだよね!
のび太が失恋したドラの手をとって励ます描写も良いなあ。
ペガグリドラコはこの段階ではまだ姿が伏せられていて、卵のみが描かれています。


●「とりあえず実力行使」する月見台の人々
突如空き地に出現した、得体の知れないピンクの建造物(※キャンピングカプセル)を、躊躇無くトンカチでぶっ叩く地主さん!!
いやいやいや、折れたらどーすんの!?
というか怪しい物体に対して、全く臆していないのがスゴイ。
さすが月見台関係者は野比案件に慣れていますね。

裏山工事のおっちゃんにしても、言葉で立ち退きを要求する前に、「とりあえずブルドーザーで攻めておく」という選択肢は、なにかが根本的に違う気がします。


●「かーちゃんのどれいじゃないっつーの!」
出ました、武さんのパロディには欠かせない名言!
まさか、これが後にあんな形で生かされるとは……
丸の中に「じ」と書いてある風呂敷を背負っていますが、「たけし」ではなく「じゃいあん」の「じ」なのでしょうか?
自作なのか、そう作ってくれと母ちゃんに頼んだのかな。
雑貨店の息子としては慣れ親しんだ道具でもあるかなと思います。


●虹を結んで空のリボン
よりによってダムの貯水開始日に村にやって来たのび太さん。
不運がピンポイントにも程がある……
部屋のドアが水圧で開かず、日本誕生する前にあやうくのび太終了するところでしたが、ドラが通りぬけフープで強制排水に成功。
結構スリリングな場面でしたが、『キラーン☆』と効果音付きで、外に虹がかかったのには笑わされました。
通りぬけフープも単に「伏線として出しておく」のではなくて、この場面にぴったりはまったギャグになっているのが上手いなと感じます。


●「一緒に問題を解きなおそう」(ドラ)
冒頭で叱られ、家出をするきっかけになったあのテストを乾かし、優しく語り掛けるドラ。
うわあ、きっと後でこの答案も使うんだよね!? 
「予想が付くからこそ逆にワクワクする」ってすごいぞ!!

使ったのは「瞬間クリーニングドライヤー」かな……?
ドラえもんのボディがちょっと水でふやけたように、柔らかく描かれているのも面白いです。


●「部長とぼく、どっちが大事なの!?」(ドラ)
まるで三角関係のようなセリフ。
部長さんって、テレビ版でいつもパパと一緒に飲んだりしているあの方ですよね。そりゃ部長を選ぶな! 
このセリフ自体は原作と同じなんですが、現テレビシリーズでの部長の固定キャラ化を前提にすると、面白さが増してきます。

カーテンレールを盛大に曲げ壊しても怒られない時点で、ドラも結構大事にされてると思うのですが。


●「家出がんばってる?」(しずか)
いや、そんなさわやかに尋ねられても……
「ひどいわのび太さん!」と、自分も仲間に入れてもらうのが当然という勢いでのび太に詰め寄ってくるのが、ナイスなお嬢さんです。


●千年杉の見おろす丘で
「T・Pぼん」にも似たようなシチュエーションがありますが、時代の移り変わりの象徴として描かれているのでしょうか。
大昔の日本へ行けば良いんだ!というひらめきと共に、曇り空が晴れて行く演出も良いです。


●「キナくさいにおいが…」
「キナ臭い」って言葉はこの作品で覚えたなあ。
タイムマシンがしゃべることについてはノーフォローでしたね。
さらに、時空乱流を突っ切るのに使ったこれは、ターボブースター!? うおお、カッコいい!
時空間のCG描写は紫からオレンジへ変化していくような色合いで、迫力がある一方で、あまりチカチカしていなくて観やすかったです。


●ドンブラPOWDER
バケツサイズ(お徳用?)の容器に入ったドンブラ粉を使ってタイムマシンを沈めるドラ。
通常は対象者にぱふぱふして(粉を)使いますが、これは大きいものを沈める用なのか、周りの地面に撒いています。
粉を使ってまでマシンを通常空間に出しておくのは、まだ時空間が不安定で流される可能性があるということかな?


●真っ赤なマントをひるがえし〜
バイソンに追っかけられたジャイアンとスネ夫を逃がすべく、華麗なステップを決めるトレアドール君。
「ず〜っと遠く」へバイソンを連れて行ったあと、ちゃんと戻ってくるのでしょうか。使い捨て?

前作はこの場面での菊池さんのBGMが印象的でしたが、沢田さんによる今回の曲もラテン調の軽快なもので、テレビ版でもどんどん使って欲しいです。


●スネ夫のデジカメ
劇中で使用したのはバイソンに遭遇したこの場面だけで、特にストーリー上の伏線にはならず……
もしかしてエンディングイラストになっている記念写真は、コレで撮ったのかな?


●「ずっとカゴの中じゃ息がつまるよな」(パパのび助)
のび太と何があったのか、パパはママの様子から何となく察したんだろうな。
空模様を見ながら、帰ってこないのび太を心配している玉子さんの表情も細かい。


●ぼくらのパラダイスをつくろう!
自分たちだけの家とか子どもだけの町とか、いわゆる秘密基地。
こういうのを作る場面がいちばんワクワクする!
いいなあ「自分も参加したい!」ってどれほど思ったことか。
今年はじめて観た子たちも、そう思ってくれたかな?


●源静香環境相
原作掲載時は「環境庁長官」だった役職が「環境大臣」へ。
建設大臣を「国土交通大臣」にしている訳ではないので、現実に合わせるより分かりやすさ優先なのかな。
花畑作りに際しては、花ぞのボンベの中身をただ地面に噴きつけているだけでなく、あらかじめ地面を耕してあるようにも見えます。
スネ夫の畑もあるので、「らくらく鍬」とか鋤も一緒に渡してあったのかも。
洞穴づくりもそうですが、力が要らず、効率良く作業できると言っても、自動で完成する訳ではないので、皆の頑張りの成果なんだなと思えます。


●「今日からぼくが、みんなのお母さんだからね!」(のび太)
クローニングエッグで生み出されたペガサス、グリフィン、リュウの三匹のペットたち。
空を飛ぶペガを見たのび太の目がキラキラ輝いて……すごく良い表情!
三匹を頭や肩にのせる様子が微笑ましく、予告編で観て以来、楽しみで仕方が無かったカットでした。
PCの壁紙にしています!


●2本が絡まって1本になっている木
複数のアンプルを同時に使う発想のヒントになったものですが、映画「ぼくの生まれた日」以降の作品にみられる「のび太と木」のイメージがここにも繋がっているのかなとも思えます。


●「責任は取ってもらうぞ! 今すぐ辞任したまえ!!」(ドラ)
うわ…皮肉が効いてるなあ。やっぱり記者会見するの?
新聞の見出しは『野比ペット相辞任へ』でしょうか。想像すると笑ってしまいます。


●グルメンを詰まらせるドラコ
食いしん坊という設定になったドラコ。
トントンと背中を叩いて優しく面倒を見るのび太が、本当に"お母さん"だなあ……


●「スネ夫さん、とってもおいしいわ!」(しずか)
ダイコンを二つに割ると、そこには美味しそうな湯気の立つ鰻丼が……
くぅっ! うらやましい! 食べたい!
27年の時を経ても観客の心をつかまえて離さない、みんなの憧れ「畑のレストラン」!!
わさドラ映画の食べ物は、どうしてこうも旨そうなんでしょうか。

しずかが畑を育てたスネ夫に感謝を伝えているのも印象的でした。
「ぼくちゃん農家になろうかな?」
と語るスネ夫も素直でとても嬉しそう。
テーブルの上にはしずかの育てた花が飾られていたり、木の食器を使っているのも細かくていい雰囲気。
洞穴の壁や床もなめらかで、手すりまで付いているなど、原作以上に快適な居住空間を作った剛田さんも見事です。


●ダイコンは丸かじりが一番!?
豪快に容器のダイコンごとかじるのび太さん。
このギャグが好きだったので今作にもあって嬉しいです。
この食べ方だと中身の向きや加熱はどうなるのでしょうか。
誰もツッコミを入れないまま、次の場面に切り替わったのが斬新で笑えました。


●「家出はやめないよ。ちょっと中断するだけ」(のび太)
のび太が本当にやりたかったのは、ママやパパを困らせることではなくて、自分の力でなにかを成しとげること。
とりあえずちょっと距離を置いて挑戦を続けてみようと、少し肩の力が抜けたようにも見えます。

八鍬監督の前作の「新大魔境」が、引っ込みのつかなくなったジャイアンの話でもあったので、のび太はそのあたりも念頭において、フォローしたのかなという気もしました。


●「石やりに誓って!」
しずかは普段ショックスティックを持っていないので、こうした描写の時だけ出てくるのは、少し違和感があったかも。


●「…手を洗って、早くごはん食べちゃいなさい」(ママ)
のび太の怯える顔を見て、それ以上の追求をやめたママ。
夕食を促すことで、彼の居場所はここから無くなっていないことを伝えています。
普通なら心配な気持ちが先行して怒鳴ってしまうでしょう。なかなかできることじゃありません。
玉子さん……素敵だ……!!
三石さんの演技がまた胸を打ちます。

八鍬監督は「前作を観た方も、ぜひ親子で観てほしい」とおっしゃっていたこともあって、親の視点というのもかなり意識して描かれているようです。
"絶対的にそこに在る者"じゃなくて、迷い悩み、間違えもする存在としての母親が感じられました。また、かつて子どもだった側の観客が自らをダブらせることも、組み込まれているように思えます。


●「いや、外の方がマズいだろ」(ジャイアン)
のび太の部屋で早速エアコンスーツに着替えようとする剛田氏に、「外で着替えて!」と叫ぶ淑女しずかさん。
ジャイアンの返事が冷静すぎて笑えます。
こういう問答いいなあ。もっと見たい。


●野比家に迷い込んだククル
原作ではドラがククルを背負っていましたが、体格的に無理があると判断されたのか、あるいはガキ大将としてのケンカのけじめなのか、ジャイアンが背負って運んでいます。
ジャイアンの荷物はのび太が持ってきたんですね。


●トキのむれ
ワンダフルじゃねえか!」(ジャイアン)
ニッポニア・ニッポンに「ワンダフル」と言うたけしさんのセンスが素晴らしい。
朱鷺色ってこういう色なんだなあ……
アニメーション作品だからこそ、映える美しさとせつなさ。
歴史の中で人間が失ってしまったもの、あやまちの象徴ともとれる場面かもしれません。

ただ、現実の2016年の日本では、人工繁殖と放鳥後、野生で生まれたトキ同士で初めて子どもが生まれたそうで、この時期に再び映画化されて良かったなと思います。
「人為的につくられた空想動物」とどう違うのか?というのは難しい問題ではありますが……
それでも、この作品も含め「終わり」にならずに続いていくのは、やっぱり嬉しいことだなと考えます。


●時空乱流の影響
ああ、なるほど!
時空乱流のような物騒なものが発生したのは、ギガソンビさんが怪しげな施設を作ったせいだったのか!
子守りロボットが時空震を観測できるくらいなので、もともとT・Pも調査中ではあったんだろうなと思えます。


●しずかを警戒するククル
スープを飲みながらもしずかの方をうかがい、背を向けていたククルが、二杯目以降ちょっと態度が和らぐ描写が丁寧です。
こういう時、サッとあたたかいスープを出す気配りが出来るしずかって立派だよなあ……


●ほんやくコンニャクしょうゆ味!
八鍬監督によると、芝山版のオリジナル要素に関しては、できるだけ違うものに挑戦したとのこと。形状も「玉こん」になっていました。
しかし否定するような扱いではなくて、「今回はそう来たか!」とわくわくさせる感じになっています。
味噌としょう油は日本人の心の味だね!


●「お前、このまま引っ込んでる気か!?」
「ギガゾンビの力はインチキじゃない!」と言うククルに対し、非科学的だと否定するのではなく、「じゃあお前はどうしたいんだ」と戦う意志を確認するジャイアン。
さすがはガキ大将。カッコいいぜ! 


●「ぼくの部屋で一緒に寝よう?」(のび太)
断られたのび太が……
ポイっと毛皮だけ置いていくんだよ……
「…でも放っておけないや!」と言わんばかりに。
それをククルはちゃんと分かってくれて……う、うわあ! 

連れて行かれた家族のことを想い、ギガゾンビへの恐怖に打ち勝とうとしていたククル。
のび太たちの気持ちに感謝していたからこそ、彼らを守ろうと気を張っていたのかもしれません。
のび太の残した毛皮は、彼の心を少しでもあたためる事ができたのか……

この段階では単純に友情を深め合うには至らないところが、特に素晴らしいなと感じます。
ここ数年のドラ映画では、のび太とゲストキャラが夜中に語らうシーンが多いのですが、
セリフに頼り過ぎと言うか、
「友情描写のための描写」になっていた部分があるので、ちょっとどうかなと感じていました。
今作では、悩んだり迷ったりする少年たちの心がとても自然に描かれていて良かったです。
ククルの揺れる心情を表現した白石さんの演技も見事でした。


●旅立ちの朝
大陸に向かって出発。
ペガたちに乗って薄紫の影の中から飛び立ち、高く昇ったところで初めて朝の白い光に照らし出されます。

この薄暗い色彩の影から光への演出は、ただ美しいというだけではなく、柔らかい世界の終わりや不安、そして広がる期待がない交ぜになったようで、どうしようもなく胸の奥がザワザワするような感動を覚えました。
冒険の始まりというだけでなく、「子ども時代からの旅立ち」を重ねてあるんだろうと思います。
ここで主題歌「空へ」のインストが流れるところがまた心揺さぶられました。

予告編では通常の光源だったので、相当こだわって色彩を設定されたのだと思われます。


●日本人の来た道
日本と中国大陸の間に海があるはずでは?と問う役目は、原作ののび太からスネ夫に変更されていました。
彼もククルの力になろうと、今後をいろいろ考えていたのだろうと思えるのですが、なぜかドラは衛星写真をのび太に投げて寄こしています。
うーん、「のび太には見せた方が早い、スネ夫なら聞けば理解できる」と考えたのかなあ?

中国大陸へ向かう風景や距離感については、八鍬監督は関野吉晴さんによる探検記「グレートジャーニー」をスタッフ全員に観てもらって、ロケハンの代わりとしたそうです。(雑誌「エンタミクス」2016年4月号のインタビューより)
F先生も存命だったらきっとご覧になってただろうなあ。


●「お昼はハンバーガーとポテト、コーラもあるよ」(スネ夫)
現代の日本でもごくふつーに食べられる料理。
でも…でも! なんでこんなに美味しそうなんだ!!
7万年前の日本で、ダイコンからストローでコーラを飲むという、この非日常感がたまらない!
畑を育てたスネ夫がこのセリフを言うのも良かったです。


●ペガをブラッシングするのび太
目の描き方がリアル寄りなこともあって、表情が出しにくいペガですが、嬉しそうなことは充分伝わってきます。

ペガの「ブラッシング好き」、
ドラコの「食いしん坊」、
グリの「棒をとってくる遊びが好き」、
というのは、舞台挨拶によると、八鍬監督が飼っている三毛猫の特徴でもあるそうです
さらに水田わさびさんとはお互いの飼い猫についてメールのやりとりもしていたそうで、このあたりの実体験が、ペガたちへののび太の愛情の描写に反映されているのだろうなと感じました。


●「バーベキューにするぞよ」
みんなのアイドル、ドラゾンビさん登場!! 
脅しなのかギャグなのかは謎の「バーベキュー」発言も健在!
O(≧▽≦)O こんな目でノリノリのドラさん。
すっごく楽しそうだなあ。
歓声が聞こえたので子どもたちのウケも良かったようです。


●次代ヒカリ族を担う戦士・ククル!
クラヤミ族やツチダマとの戦いでのククルさんが強い強い!
天性の運動神経を生かした蹴りを入れたり、タケコプターを使いこなしてのび太を助けたりと、能力、機転、柔軟性ともに、さすが未来の族長という活躍ぶり。

原作と違い、落下したのび太を直接助けに行ったことで、より意志の強さと友情の篤さが感じられるようになっていました。


●「人間は苦労した分だけ文明を発展していくんだ」
ヒカリ族に「らくらく道具」を貸そうとしたときのドラのセリフ。
この言葉がまさに今作のテーマになっていますね。
原作と同じ場面ではあるのですが、こんなに深い言葉だったということを、改めて気づかされました。

ジャイアンたちがドラから道具を借りられたのは、生活のためではなくて、遊びの延長だったからなのでしょう。
でも、ちゃんと自分たちも頑張って作り上げたからこそ、その達成感、人の役に立つ嬉しさというのも理解できたはずです。特にスネ夫は。

村づくりの様子に石オノ鍛冶らしき人が映ったのにも興奮しました。
T・Pぼんの「魔獣デルブ」の話を思い出します。


●川原でもの想うのび太
ヒカリ族の手伝いもせず、大陸に置いてきたペガたちのことを想い続けるのび太。
これは……現代においても、難しい問題かもしれません。
立ち止まってはいけないのか、個人より集団が優先なのか。
感傷にふける人間は役立たずなのか?
原始時代のほうが現代より厳しい生活であるはずですが、忙しい仕事を抜けて様子を見に来たククルは、のび太を批難するようなことは何も言いませんでした。
のび太が優しい心を持っているということ、故に動物たちが慕ったのだろうということ。それは彼の取り柄であり、他の人とは違う形で役立つ強みであるということ。
これらを理解してくれているんだろうなと思えます。


●「のび太も手伝ってくれないかな」(ククル)
旦那をうまいこと働かせる女房の図……
もとい、
立ち止まった時に、受け止めて、ちょっと背中を押してくれる人の居る嬉しさ。
ククルにとっても、あの毛皮はそんな感じの暖かさだったのでしょうか。

ある程度気持ちが上向いたら、身体を動かしているほうが良いというのもあると思います。


●形状記憶セラミック
「形状記憶」という言葉もこの作品で覚えたなあ。
説明のためとは言え、ツチダマのお手手を巨大ハンマーでかち割るドラさんは豪快すぎる……
地主さんといい、この世界のハンマーの使い方は色々おかしい。
成分鑑定をドラミさんに依頼していたことで、「ドラミを出す」というミッション(?)が、ちゃんと作中で意味がある行為になっていたのが嬉しいです。
相手が只者ではないと分かった時点で、「打てる手は全部打っておく」というのも、戦略的に理にかなっていますね。


●ククルの犬笛を見つけるのび太
村が襲われた時に落としたものだと思うけど、のび太が来ることを信じて、意図的に置いて行ったという可能性もある…かな?


●一度助けたヒカリ族を連れ去られる絶望感
この展開、改めて考えるとすごく重いなあ……
「悪い奴をやっつけて、人々は幸せにくらしましたとさ」
という段階まで、一旦は進んだのに、それが全て奪われるという辛さ。
しかも、自分達が相手をみくびって、安全な時代へ帰ってしまった後の出来事。
所詮「家出ごっこ」をしていたのにすぎないと思い知らされてしまう展開……

戦闘自体のハードさでいったら、「鉄人兵団」とか「宇宙小戦争」の方が上なんですが、一筋縄ではいかない状況や精神的な苦さに関しては、この「日本誕生」をはじめとする平成時代の作品の印象が強いかなと思います。
F先生の体調不良からくる作風の変化、というのももちろんあるとは思いますが、大きく時代が変わろうとしている90年代の空気の反映もあるんじゃないかなと考えます。
この時代を語れるほど理解しているわけではないのですが……
今回は映画のリメイク順序が一気に飛んだ(83年→89年)ことで、平成ドラの雰囲気の違いが顕著に現れたんじゃないかなと推測します。

リメイク作品はたくさんありますが、年一作ずつ製作され続けたものを、さらに毎年リメイクしていくというのは、かなり独特な形態なのではないかと思います。
そういう意味でも、ドラえもんという作品を続けていくことが、いかにすごい事なのか、改めて考える機会になりました。


●リニアモーターカーごっこ
雪山に入ったあたりで、ちょっと劇場の子どもたちがダレていたので、ここで動きのある場面を持ってくるのは良く考えられているなあと納得(原作・映画ともに)。
ジェットコースターの勢いで崖から飛び移ったと思ったら、足元から雪が崩れていくぅっ!!
よく動いて気持ちいい画面ではありますが、スピーディで結構ハラハラさせられます。


●ラーメンのおつゆ再び
あ、あ、おつゆ捨てないで! 
身近な食べ物であるからこそ、のび太の絶望感が観客にもリアルに伝わってきます。
みんなのトラウマポイント☆
ククルが助けられた時にあたたかいスープを飲ませてもらったことと、対比になっているのかもしれません。


●「ちょっと試したかっただけなんだ……」
パパとママの幻に次いで、自分の幻影までもが雪に倒れたのび太を突き放す。
親への反発とか、見通しの甘さも確かにあったかもしれない。
けれども自分の力で、どれだけできるか挑戦してみたかった。
それには、自分がやるべきことに向き合わなきゃいけないってわかった。
だから、今はククルを助けたい!
そんな気持ちが、のび太を支えたのでしょうか。
エアコンスーツの効果も0では無いところがミソだと思いますが、のび太自身が後悔や絶望につぶされることなく、強い心で、起き上がって前に進もうとしたことが生還できた理由だったのだろうなと思えます。


●青い月を背負って現れる空想動物たち
羽ばたく三匹のシルエットが美しい……!
ペガたちが犬笛に反応する様子は先に描かれていたので、さほど唐突でもなく、なるほどと納得がいきました。
ただ、T・Pに助けられる描写が無くなったことで、のび太の体力を回復できなかったのは大丈夫だったのか気になりました。
体温は三匹が温めてくれたのだと思いますが……
ドラコって恒温なのかな?

吹雪が止んだのもタイミングが良すぎるのかもしれませんが、ギガゾンビが基地を隠す為に周辺環境を操作していたとすれば、ドラたちが来たと知った段階で、設定を修正したのかなとも想像できます。


●「どれいだけはゆるさねえ!」(ジャイアン)
うわぁ、あのセリフがここにつながるのか!!

自分たちの住居を立派に完成させ、ヒカリ族の村づくりも手伝ったりと、ここまでの場面で彼なりに「働く」ということについては、いろいろと考えていたはず。
だからこそ、ヒカリ族から村を奪い、意志に反した労働を強いている連中を許せないという思ったのでしょう。
ジャイアンの「家出」からはじまる物語が、ひとつにつながった瞬間、観ていて胸の奥が熱くなりました。

波紋状に広がって色が失われるという、ウルトラストップウォッチのエフェクトも良かったです。


●ギガゾンビの研究施設
壁に光る計器類が未来のテクノロジーを感じさせつつ、土器やケモノのキバをモチーフにした装飾も施されており、その緻密な背景美術に見入ってしまいます。
これは基地に統一感が無いのではなくて、古いものを化石扱いする言動の一方で、原始時代の宗教や習俗への傾倒をみせるというギガゾンビの抱える矛盾が表れているように思えました。


●23世紀の石ヤリと仮面
これも同じことなんですよね。
超未来の技術をつぎ込んで、わざわざ原始時代の武器を作るのは何故なのか。(市販品じゃなくて自作だろうと推測)
原始時代の支配者、"精霊王"としての演出に酔いしれているだけかもしれませんが、
「腐りきった未来を消し去る」と言いながら、その未来の技術を使って歴史を変えようとしている彼の「矛盾」が象徴されているように思えます。

そして身に付けた仮面は、精霊王としてのハッタリであると同時に、自らの出自が未来にあるという事実にフタをするもの。
自分だけに都合のいい世界を守るための仮面が、家族や仲間を支えるために作られた本物の槍に負けるということ、そしてそれを投げるのは、子どもを守り、未来へ導く役目の子守りロボットであるということには、単に「敵を倒す」という以上の意味合いが感じられました。


●史上最強の子守りロボット!?
ギガゾンビとドラえもんの間には圧倒的な体格差があるにもかかわらず、それでも果敢に攻め込むドラ!
日々ネズミと戦うことで鍛えた(?)驚異的跳躍力で石ヤリを上段から叩き込む姿がめちゃくちゃカッコいいです。
戦意を失うことなく挑み続けるドラに対し、ギガゾンビは性能差と相手の武器を破壊することで退けたにすぎないので、五分の条件でまともに戦ったら、ドラの方が強いんじゃないかという気もしてきました。


●とどめをささないギガゾンビ
そういえば、あの「機械破壊しちゃうぞビーム(仮)」はロボットであるドラに対しても効くのでしょうか。
可能だとするなら、なぜあの場でさっさとドラを始末しなかったのかなという気もしてきます。

しずかたちと一緒にいけにえに回したことで、自らの精霊王としての演出を優先したとか、動物に襲われるのを眺める悪趣味だったとか、単にツメが甘い奴だとか、いろいろ考えられますが、自分が絶対的優位だと信じて疑わなかったのはあるでしょう。
これはつまり、裏を返せば、人間(人格を持ったロボットも)の底力、しぶとさを全く信じていないということでもあります。

彼の敗因は物理的攻撃への対処を怠ったことが第一ですが、解放されたヒカリ族の参戦や、ククルの活躍、ドラが妹のドラミに調査を依頼していたこと、別行動となっていたのび太が救出に来たことなど、恐らく、ギガゾンビが最も軽視していた「仲間の協力」「人と人の連携」が大きな要素になっていたことも、なるほどなと考えさせられました。


●「食べるならジャイアン! グルメならジャイアン!」(スネ夫)
サーベルタイガーちゃんのご飯にされかかったスネ夫のセリフ。
のび恐2006でもこーいうの見たような気がするぞ。
さすがスネ夫さん、全くブレない!
相変わらずというか、このタイミングでまだ少しでも生きながらえようとするメンタルはとても強いように思えます。


●助けに来たよ!
ペガたちに乗って颯爽と助けに来たのび太!
八鍬監督が「作るのが大変だったシーン」として挙げていましたが、その甲斐あってか、のび太目線で飛び回るカメラワークがめちゃくちゃ迫力あるものになっていました。
バサァッと風切り音が入っているのもいいですね。

「夢をかなえてドラえもん」のシンフォニックアレンジが流れ、のび太の合図でヒカリ族が戦い始めるのも燃えます。
新大魔境にも同様のシーンがありましたが、八鍬監督のこだわりの描写なのでしょうか。
不敵な笑みを浮かべてクラヤミ族と組み合うタジカラさんにしびれます。

直接の戦闘がほとんど無いのび太にも、ギガゾンビの仮面の角を折るシーンがあり、一矢報いています。
グリがクラヤミ族を足で掴んで落としていたのは、元になったワシの性質でしょうか。


●「マンモスと戦うときはぬかるみに追い込むんだ!」
うわあ、ここでドンブラ粉使うのか!
壊しても無駄なら、動きを封じてしまえば良いんですね。
原作の接着銃から、さらに一歩進めたアイディアになっていて感服です。
マンモスの像ということでククルの助言が役立ったのも、時代に関わらず戦略は通じるんだという構成になっていて、なるほどと感じました。
ドンブラ粉が散布するタイプだったのはこのためかー


●亜空間破壊装置
ドラが言うとおり、歴史を歪めることでこの世界そのものが消えてしまうかもしれないのに、なぜギガゾンビはそんなものを研究していたのか。
他の時代から立ち入れないようにすることが当面の目的だったようですが、科学者だったら、そもそも自分やその技術も未来の産物だということに気がつくはずです。

その事実を認められないほど、「腐りきった未来」に絶望していたのでしょうか。
あるいは単に元の時代が嫌になって「家出」してきただけで、ことの重大さを認識していなかったのでしょうか。
どちらでも解釈できるかと思いますが、彼には彼なりの論理があって行動していただろうことは感じられました。
個人的には破滅願望と子どもっぽさ、その両方が混ざっているイメージかな……


●亜空間破壊装置(一部)をへし折るククル
うひゃー折っちゃったよ。ククル凄っ!?
今作のククルは最後まで中心人物として大活躍してくれますね。
というかギガさん、もうちょっと物理的強度上げとこうよ!


●「逆転サヨナラホームランってか?」(ジャイアン)
「野球はツーアウトからってね」(スネ夫)
ひゅう、タケシさんカッコいい! スネちゃましびれる!
瞬間接着銃を構える二人のポーズが歴代最高クラスにキマっていました。
このカットでグッズとか欲しかったなあ。


●一世紀の違い
ドラとギガゾンビには一世紀分の技術差がありましたが、今回のリメイクによって、2016年ののび太とドラえもんの時代もまた「一世紀の違い」になっていたことに気がつきました。
確かに道具や技術の発展はありますが、のび太とドラが同レベルで馬鹿やって遊べる親友なんだと思うと、
たった一世紀の違いなんて、みんなが居れば怖くないぞ!
という言葉が、本当に実感を持って納得できます。


●「ニセモノの歴史が本物の歴史に勝てるわけがないんだ!
ククルから借りた本物の石ヤリで、ギガゾンビを打ち倒す!
やったぜドラえもん!
そう、ククルも、ヒカリ族も、のび太も、ドラえもんだって…古いものが劣っているということじゃないんだ!

と、同時に「ドラも歴史改変者である」という事実も浮かび上がってくるのですが……
都合のいい解釈かもしれませんが、過去の人間を虐げて未来を無くしてしまうギガゾンビと、過去の少年を育てて、未来へ繋げようとするドラは、やはり違う存在だと信じたいです。


●それにしてもずいぶんハデな登場だね
満を持してやって来たタイムパトロール!
船の出現と同時に、亜空間破壊装置をど真ん中から破壊するというのは、実に合理的かつ豪快な手法ですねえ。

原作の「スイッチ」は無くなりましたが、調査を依頼していたドラミがT・Pに通報したということで、逮捕までの流れも無理なく納得できる形に。
ククルが装置の一部をへし折ったことで、この時代・場所への転移に妨害が無くなったのもあるでしょうか。

あれ、このT・P隊員は……?


り、リーム!? ぼん!? ユミ子!? 
うわあああああああああああああっ!!!!
こ、取り押さえた隊員は、ぼんとユミ子じゃないか!!!
隊長の女性は…赤いロングヘアー!?
リームだ! リームだ! 
生きてる歩いてる! しゃべってる!
ってこれ「未来のT・Pのサングラス」じゃないか!?

誰?という方はF先生の他作品「T・Pぼん」をご覧ください。
別世界のそっくりさん(スターシステム的)であって、本人ではないでしょうけど、鳥肌が立つほど感激しました。
いやあ、劇場で変な声出しちゃったよ。


●「よく持ちこたえてくれました」
久川綾さん演じる"T・P隊長"の凜とした声色がいいなあ。
上から目線でも、子ども扱いでもなく真摯な感じが出ていますね。
よく分かってないけど思わず敬礼しちゃうククルも可愛い。


●「ぼくのこと、忘れないで」(ククル)
今回の映画のククルとのび太は、一方的に力を貸す関係ではなく、大切なものと離れ離れになったときに励まし、そばに寄り添ってくれた存在でした。
それだけに、この言葉も定型的なものにならず、心に深く響いてくるのでしょう。
のび太のみならず、観客の私達だって、キミのことを忘れないよ!!


●親として、彼らの幸せを願う
「ドラコは食いしん坊だから、食べ過ぎに注意してください… 
グリは木の枝を取ってくるのが好きなんです。
ペガは…毎晩ブラシをがけてぐだざい!」
狙い過ぎかもしれない、けれど構わない! 
のび太はこう叫ばずにいられなかったんだ! 

ちょっと感情移入しすぎて冷静に観れない部分はありますが、この映画の中で積み重ねてきたのび太の想いが、観ているこちら側にもなだれ込んでくるように感じられました。

前々から惹かれるものがあってペガサスの絵を描いたんだろうな。
「のび太にできる仕事なんてあるのか」という扱いをされて、それで生み出したのがペガたちで……
育てていたら、意地とかそういうのはもう関係なくて、ただ愛しくて。
でもギガゾンビのしたことを見たからこそ、T・P隊長さんの言うこともよくわかる。
ならば、どうか彼らが幸せに暮らせるように。
三匹について大切なことを伝えなきゃ……!
そんな葛藤の中で絞り出した言葉なんだろうなと思えます。

正直、のび太と動物たちの交流がメインの映画ではないので、そこまでがっつりとした描写の蓄積がある訳ではないのですが、外で一緒に寝る場面なども加えられており、のび太にとって大切な存在であったことは充分伝わってきました。

大原さんの演技が、また良い……! 
明瞭な発音より感情表現を優先させている感じで、それがリアルな言葉に聴こえて胸に響きます。


●「わかったわ。しっかり伝えておきます」(T・P隊長)
サングラスを取ってしゃがみこみ、のび太と目線を合わせるリーム、じゃなかった隊長。
うわあ!うわあ!うわあ!
サングラスがただのネタじゃなくて、ちゃんとした芝居の道具になってるよ!!

元ネタが何であるかは知らなくとも、のび太としっかり向き合う隊長の姿に、ただ淡々と任務をこなすだけではなく、いろいろと悩みながらも歴史に向き合っている人々が居るのだと思えます。

隊長が若い女性であることも、威圧的にならないようにしているほか、子を身に宿すことの出来る存在として、親子と未来がテーマの物語になじむようになっているでしょうか。

何と言うか……
単なるパロディとかファンサービスじゃなくて、作中でちゃんと意味のある存在として「T・P隊長」を描いているのが、ただただ見事だな、と思いました。
しかも、紛れも無く「T・Pぼん」の「リーム・ストリーム」と同じ魂を持った存在だと感じられるのも素晴らしいです。


●空想動物サファリパーク
映画の中では唐突に出てくる単語ではありますが、原作では「ユニコーンにのった」という話(てんコミ26巻、全集19巻)で登場している施設です。
この話は現アニメシリーズでは2009年に放送されていますが、おさらいも兼ねて、16年3月11日にアニメオリジナルで「空想動物サファリパークと約束の笛」という話が放送されました。

各所で募集していた「空想動物コンテスト」の受賞作も、この場所に居る動物という設定でエンディングに登場しています。
参加型企画の中では今までで一番無理がない組み込み方だったなと思いました。


●「ぼくも、頑張るからね!」(のび太)
未来へ旅立つペガたちを、転がりながら追いかけるのび太……
今作では「きっと会いに行くからね」だけでなく、「"ぼくが"頑張る」という「未来への約束」をしていました。

そんなのび太の肩に手を置くのはククル。
「過去の人々に支えられて今を生きている」ということと、
「未来へつなぐために自分が生きていく」ということ。
この物語のいろいろな要素が集約された、冒険を締めるのにふさわしい名シーンだったなあと感じます。


●ハムスターを返しに行くパパ
電車には乗れないからタクシーで行くんですね。
ハムスターはかなり繊細な生き物とのことで、実際にはカゴの外では生きられないのかもしれませんが、野比家で過ごした時間はどうだったのでしょうか。
彼もまた家に帰り、その物語は続いていきます。


●玄関の生け花
6月のカレンダーが掛かっていたので、おそらくハナショウブではないかと思われます。
この花はのび太の家出後に生けられたものかな……?
玉子さんが生け花を習っているのは原作にも度々出てきますが、今回はどんな気持ちで生けていたのでしょうか。
のび太の冒険とは別に、ママにはママの時間が流れていたんだなというのが感じられます。
花言葉(の一つ)は「優しい心」だそうです。


●「家出は終わったの?」(ママ)
「たぶんね」(ドラ)
のび太が勉強していたのはあのテストの問題でしょうか。
自分の力を試したかったという想いについては、彼なりにいろいろ考え、前に進むために、できることに取り組んでいくという一つの答えを得て帰ってきたのだろうと思います。

ママとのギクシャクを含めた、いわゆる「家出」は終わりましたが、未来へ向けたのび太の道のりはこれからも続いていきます。
本当の意味で、自立への第一歩を踏み出すことができたのかもしれません。


●電気スタンドに犬笛
のび太はこれからも、しょっちゅう居眠りしながら、サボりながら、それでも机に向かい続けるのだろうな。
そんなとき、傍らにはあの犬笛があって、彼らを思い出すはず……。
来年の映画にもチラッと笛が映ると嬉しいです。


●「おかえり、のび太
家出で始まった物語が「おかえり」で終わることにホッとしました。
ママから見れば(おそらく)毎日夜には帰ってきていたわけで、実際に家を空けていたわけではないのでしょうが、のび太の気持ちを考えずに追い詰めてしまったこと、彼の心が離れてしまっていたことに、胸を痛めていたのだろうなと思います。
もちろん一連の出来事をママが知っている訳は無いのですが、のび太が成長して帰ってきたと感じていることでしょう。

このあたりは、私自身もさらに年齢を経てから観ると、またいろいろ分かってくるのかもしれません……


●エンディングテーマ〜「空へ」
八鍬監督はもともと山崎まさよしさんのファンで、「太陽の約束」など具体的な曲名を出しながら、作品のテーマを伝え、飛翔感のある楽曲をオーダーしたそうです。
そうして仕上がった楽曲は本当に素晴らしく……
柔らかさと温かさの中に旅立つ決意と不安、そして希望が見事に織り込まれていて心を揺さぶられます。

山崎さんによるとアーティストとしての個性よりも、曲の口ずさみやすさを意識し、また子ども向けという目線ではなく、全ての世代に伝わるように作詞をされたということです。
とりわけ「僕らが繋がる」という部分に、この映画のテーマが凝縮されているような感じがしました。

八鍬監督は完成した「空へ」を聴きながらラストの絵コンテを描いたということで、この主題歌あってこその、あのラストシーンだったというのも納得です。
(以上、八鍬監督と山崎さんのコメントは、雑誌「エンタミクス」2016年4月号P46〜47、P64〜65より)


●エピローグイラスト
原画を手がけたのは大山時代よりアニメドラに携わり、近年では渡辺歩監督作品に多く参加されている金子志津枝さんです。
個人的に大好きな「その後」を描くタイプのエンディングで、さらに水彩風の美しい画が映画の余韻を最高に盛り上げていました。

頼もしい表情で配達へ向かうジャイアン、ピアノの発表会に挑むしずかは、それぞれ働くことや親の期待についていろいろ感じた中で、前向きに取り組んでいくことにしたようです。

そして鉢巻きしめて勉強をするスネちゃま!
作中で一旦は「フランス語に絞る」と言っていたのですが、英仏中の三ヶ国語の学習に挑むようですね。
フランス語は元々おフランス好きで興味があったのでしょうが、中国語を学ぶのは今回の旅が影響しているのかも。

オチ担当はゾンビ衣装と化粧にすっかりハマったドラえもん。
パパとのび太が「ちょっと…どうするのさアレ?」という顔で様子をうかがっているのが笑えます。

ほかにも族長になったククルと彼の子どもたちや、空想動物サファリパークで暮らすペガグリドラコ等々……一枚の絵の中に、ぎゅぎゅっと物語が詰め込まれていて、ずっと眺めていたい気分になります。

急げみんな! 「新・日本誕生」BD&DVD初回特典はこのエンディングイラストのポストカードセットだぞ!!


●おしまい
ラストのカットはペガたちを生み出すきっかけとなった絡み合う二本の樹と石ヤリのイラスト。
枝分かれしてつながっていく歴史と、人類の技術の象徴でもあります。

おかえりなさい。そしておつかれさま。
今年も素敵な冒険をありがとう!


●来年もまた観てね〜
恒例のおまけ映像=来年映画の予告。
氷の上のドラと下に広がる城のようなものが描かれていました。

テレビ版で「真夜中の巨大ドラたぬき」
「地底100マイルちょっとの大作戦」
「のび太のダンボール宇宙ステーション」
などのスペシャル回・中編を手がけてきた高橋敦史さんが監督をされるそうです。
タイトルは「のび太の南極カチコチ大冒険」!
予告編を見る限り「大氷山の小さな家」のほか、「地底の国探検」の要素も入っていそうです。
挿入歌と舞台設定と映像の見せ方にこだわりのある高橋監督ですので、来年の映画にも期待大です!


●上映後には
スタッフロールで立つ人も少なく、劇場内には満足感と高揚感が漂っていたように思います。
ある劇場では、
「おれはじめてドラえもん観たけど、泣いたわ!
こんなの36年も毎年やってるの!?」
と興奮気味に語っているお父さんが居て、とても嬉しくなりました。

 ◇

<まとめ〜日本誕生フォーエバー!>

今回の映画「新・日本誕生」は最高でした!

新しい土地で生きていこうとするククルを助けることで、のび太自身も未来に向かって歩みはじめ、そしてその道がやがて彼の子孫がドラと出会う未来に続いていくのだと、ひとつながりの物語として感じることができました。

また、ククルとの友情とペガたちへの愛情、のび太を中心とした二つの関係性についても、それぞれがバラバラにならず、過去から未来へ続く歴史の象徴として構成されていたのは本当に素晴らしかったです。

歴史を積み重ねていくというテーマを原作や前作より明確にし、深めていくことで、ギガゾンビが歴史を破壊しようとしたことの重大さも伝わり、ドラが、のび太が守ったものの大きさも納得できるようになっています。

そして前作を親に連れられて観た人、今作を子どもを連れて観た人、大切な人たちと観た人、などなど、劇場に足を運んだ私達もまた、未来へ続く歴史の一部になっているのでしょう。

長く続くこの作品、「ドラえもん」だからこそより意味を持って感じられる物語、2016年の新しい「日本誕生」。
本当に楽しかったです。ありがとうございました!

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
初めてコメントさせていただきます。
小さい頃からドラえもんが好きで今でも映画だけは毎年BDで追っかけている者です。
このブログも映画を見るたびに参考にしていました。
漫画、旧作を見直してから視聴しましたが、新大魔境同様に両方のいいとこ取り+補強+and moreでとても楽しみました。
のび太がガウンを無言で投げるシーンはなんとなくのび太っぽくない行動で少し”?”となりましたが…
旧作では無くなっていたドラ対ギガの対決もよかったのですが、石ヤリのシーンももう少し迫力が欲しかったかもとも思いました。
ただ”テクノロジー”対”歴史の重み”、”家出”など単なるストーリーの一部だったものがテーマそのものに生かせられるのがのが八鍬監督の最大の強さだと感じました。
“雲の王国”や”創生日記”などもテーマだけを取り出し、まったく違う内容の新たなストーリーでリメイク(リ・イマジネーション?リブート?)を作れるのではないかと密かに期待しています。
クライマックスは感動で泣いていいやら、見覚えのありすぎるT・P隊に唖然とするやら(思わず画面の前で叫んでしまいました)、将来の映画の絡みに期待するやらで大変でした。
トキさんの鋭いドラえもん感想、これからも楽しみにしています。
ブリドラ
2016/08/29 03:05
>ブリドラさん
記事をご覧頂きありがとうございました! とても嬉しいです。
のび太が羽織りを黙って投げるところは、確かにちょっと素っ気無かったですよね。その前に「勝手にすれば!」とすこしキツいことを言ってしまったせいかなとも思います。ただ、雪山でのび太の幻にも同じことを言われていたので、あとで気にしていたのかなと個人的には想像しています。
八鍬監督は原作や前作の良いところに、さらに補強して新しい世界を広げているところがすごいですね。
私も雲の王国や創世日記のリメイクがどんな感じになるか観てみたいです! 
ドラえもん感想は細々と続けていければと思いますので、思い出したときにのぞいて頂ければ幸いです。
春巻き(管理人)
2016/08/29 23:43
またお会いしましたね、今回の映画も結構でした。

ツチダマのお手手を巨大ハンマーで・・・>
この時のドラえもんの持っていたハンマーに↓が書いてあったらどう感じますか?

・100t

たった一世紀の違いなんて、みんなが居れば・・・>
毛利 元就の「3本の矢」のたとえに値しますね?

元就 :坊や達、矢を1本ずつ折ってみよ。
子供達:折れたよ。
元就 :なら3本重ねてやってみろ。
子供達:折りにくいよ。
元就 :このように「合体すれば」挫けなくなる。
−−−−−−−−−−−−−−−
失礼します。
鳴海みぐJr.
2017/03/12 12:12
こんにちは。
>100tハンマー
某シティハンターを思い出しますが、ドラえもんなら持っていてもあまり違和感ない気がします。

>毛利元就の三本の矢
協力することが大きな力になるという良いたとえ話ですよね。確かに今回の話にも通じる部分があります。
春巻き
2017/03/28 00:43

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映画ドラえもん「新・のび太の日本誕生」感想その2 〜思い出せ!あの日の感動! 今をトキめかない/BIGLOBEウェブリブログ
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