てれびくんデラックス「ドラえもん完全大百科」
1996年に発売された、
アニメ版と原作版の「ドラえもん」の総合ガイド本です。
子ども向けに基本設定をわかりやすくおさえながら、
ドラ焼きを噴き出すようなマニアック要素が
チラホラ見受けられるのがポイント。
「ぼくドラ」や「ドラえ本」のように、
アニメ・原作双方を扱う総合ドラ本はいまでも発売されていますが、
この種のガイド本を手に取ったのは
これがはじめてだった…ような気がします。
表紙写真の帯にあるように、
私が所持しているのは
1996年12月1日(F先生とドラミの誕生日)発行の第2刷。
1刷はF先生存命中の1996年4月1日となっており、
4月(奥付は5月)発売の45巻のデータを加えて増刷した旨が
帯に書かれていました。
そういった経緯も含めて、特に印象深く大切な一冊になっています。
◇
内容についてはキャラクター紹介、映画紹介、
道具紹介、2112年ドラえもん誕生のコミカライズ、
そしててんとう虫コミックス単行本データリストと、
前述の通りアニメ・原作双方のサイドから
ドラえもんを「完全大百科」するものになっています。
なぜかアニメ関連と原作関連で完全にページを分けているわけではないようで、
このような少々変わった図解が見られます。
「ドラえもん完全大百科」p.31
※クリックで広範囲表示
セワシの絵はアニメ版、しかしノビスケたちは原作のカット……
どこか不思議な感じのする家系図です。
スネツグとしずか父もアニメ版の絵になっていて、
逆にそちらの方がレアだったかもしれません。
目次ページの「銀河超特急」原画と
映画版の絵コンテのコラージュなどは
「むしろそれをもっと見せてくれ!」というくらいでした。
◇
軽~くパラパラめくっただけだと、
子ども向けの本かな?という印象も受けるのですが、
ゲストキャラ大集合ページなど、
マニアックな原作ファンも見逃せません。
同、p.33
右下の二十杯飯オバケとか……
解説ただひとこと、「 オバQ。 」
句点付いてますよ、さすが学館様ですね。
確かに「なんでも空港」の話に登場しますし、セリフがありますが。
このリスト、「コミックドキドキの編集者」とか、
「月形まる代」とかもしっかり載っていて、
すみずみまで飽きさせません。
購入したのはF先生逝去間もないころというのもあって、
この本は私を
「なんとなくF作品をたくさん読んできた子ども」から、
「F作品ファンというかヲタというか『アレ』な人」に
ステップアップさせた一因だったかもしれません。
◇
道具紹介のページは内部図解などを交えながら、
定番のタイムマシンやどこでもドアなど、
子どもにもわかり易く見やすい構成。
しかしページが進むにつれて、
「ゆめたしかめ機」や「わすれとんかち」など
だんだんイカした道具が混じり始め、
しまいには、「単行本未収録道具」(当時)など、
どこの子どもが喜ぶんだよ!的マニア度が全開に。
同、p.66
「カワイソメダル」? 「きもだめしめがね」?
わあ、面白い道具! 読みたい!
……読めません、読めねぇぇぇっ!!
と、当時の叫びがフラッシュバックしてきましたが、
1996年は恐ろしい勢いで藤子本が書店から消えていた時期。
F・Fランドもとっくに絶版で既に入手困難になりつつあったし、
何より一介の中学生にどーやって未収録を読めと。
国会図書館にも入れません。
……今なら、それくらいの年齢でも、
私以上に知識をお持ちの方もたくさんいらっしゃるのですが。
当時はまだそこまで能動的でなかったようです。
逆にそういった葛藤から、
次第にヲタの道へ迷い込んでしまったということでしょうか。
ぴかコミやプラス、そしてF全集の刊行と、
本当にありがたいことだなあと感じる現在です。
◇
そんなこんなで、侮りがたき一冊。
さらにページを進めますと、
三谷幸広先生による、
映画「2112年ドラえもん誕生」のコミカライズが掲載されています。
扉絵欄外には、
と、あります。
あの映画で語られた衝撃(?)の最新設定を公式として、
マンガでわかりやすく整理するという試みのようでした。
展開は若干駆け足気味なので、
個人的には映画の方が良いかなという気もしますが、
三谷絵のノラミャー子さんなどは貴重かもしれません。
同、p.72
<チラシ> 高校時代、「ドラの元彼女をうろおぼ絵で描く」という企画があったときに、
この三谷版ノラミャー子を「正解」として提出したのは…無理があった。 チラシ>
◇
そんなこんなで、
そこまでであったら、
この本は「私をドラヲタへ目覚めさせた想い出の一冊」
で終わるのですが、
つい数年前まで、今でも時折、引っ張り出して見るのは
ひとえにこれが収録されているためです。
「ドラえもんデータファイル」!
てんコミ1~45巻に収録された、
全タイトル、全道具、全ゲストキャラ、ページ数、各話テーマを
一覧にしたという、ものすっごい企画。
「あの話は何巻だっけ」
「あの道具は何巻のどの話だっけ」
「あのゲストキャラは…」
という疑問が生じるたびに、手にとっては
くりかえし、くりかえし確認してきた日々です。
↓43巻のリスト例(一部)
同、p.105
※クリックで全体図表示
今は、インターネットでうろ覚えの単語でもなんでも放り込めば、
それっぽいヒントを拾ってきてくれるので、
「ああ○巻のあの話か」と見当が付き、
すぐ該当の巻を取り出すことができるのですが、
インターネット環境を手に入れるまでは、
本当にこのリストが頼りでした!
まさか一冊ずつ読んでいくわけにもいかないし。
…ある程度は「何巻にこの話が」というのが
頭に入っているのですが、意外と他の話と混ざっていたりもして、
記憶があてにならないことも身にしみております。
2010年現在でも、
ネット「でも」調べられることを、
このリストで調べたりもするんですよねえ……
なんというか、完全に「手に馴染んでいる」感じ?
紙媒体でパラパラとめくって見れるという、
印刷物ならではの通覧性も捨てがたいものがあります。
◇
と、いうことで
細心の注意をはらいつつも、
あちこち傷みが出てしまっている本ですが、
コレクションとか資料性とかそういうのを超えた一冊として、
これからも大事にしていきたいと思います。
……改めて、地味にマニアックな本だな、と思ったら、
奥付を見て、納得。
◇
<書誌情報>
てれびくんデラックス
ドラえもん完全大百科
1996年4月1日 第1刷発行
1996年12月1日 第2刷発行
小学館
定価900円(本体874円) ※当時
ISBN4-09-101449-6
アニメ版と原作版の「ドラえもん」の総合ガイド本です。
子ども向けに基本設定をわかりやすくおさえながら、
ドラ焼きを噴き出すようなマニアック要素が
チラホラ見受けられるのがポイント。
「ぼくドラ」や「ドラえ本」のように、
アニメ・原作双方を扱う総合ドラ本はいまでも発売されていますが、
この種のガイド本を手に取ったのは
これがはじめてだった…ような気がします。
表紙写真の帯にあるように、
私が所持しているのは
1996年12月1日(F先生とドラミの誕生日)発行の第2刷。
1刷はF先生存命中の1996年4月1日となっており、
4月(奥付は5月)発売の45巻のデータを加えて増刷した旨が
帯に書かれていました。
そういった経緯も含めて、特に印象深く大切な一冊になっています。
◇
内容についてはキャラクター紹介、映画紹介、
道具紹介、2112年ドラえもん誕生のコミカライズ、
そしててんとう虫コミックス単行本データリストと、
前述の通りアニメ・原作双方のサイドから
ドラえもんを「完全大百科」するものになっています。
なぜかアニメ関連と原作関連で完全にページを分けているわけではないようで、
このような少々変わった図解が見られます。
「ドラえもん完全大百科」p.31
※クリックで広範囲表示
セワシの絵はアニメ版、しかしノビスケたちは原作のカット……
どこか不思議な感じのする家系図です。
スネツグとしずか父もアニメ版の絵になっていて、
逆にそちらの方がレアだったかもしれません。
目次ページの「銀河超特急」原画と
映画版の絵コンテのコラージュなどは
「むしろそれをもっと見せてくれ!」というくらいでした。
◇
軽~くパラパラめくっただけだと、
子ども向けの本かな?という印象も受けるのですが、
ゲストキャラ大集合ページなど、
マニアックな原作ファンも見逃せません。
同、p.33
右下の二十杯飯オバケとか……
解説ただひとこと、「 オバQ。 」
句点付いてますよ、さすが学館様ですね。
確かに「なんでも空港」の話に登場しますし、セリフがありますが。
このリスト、「コミックドキドキの編集者」とか、
「月形まる代」とかもしっかり載っていて、
すみずみまで飽きさせません。
購入したのはF先生逝去間もないころというのもあって、
この本は私を
「なんとなくF作品をたくさん読んできた子ども」から、
「F作品ファンというかヲタというか『アレ』な人」に
ステップアップさせた一因だったかもしれません。
◇
道具紹介のページは内部図解などを交えながら、
定番のタイムマシンやどこでもドアなど、
子どもにもわかり易く見やすい構成。
しかしページが進むにつれて、
「ゆめたしかめ機」や「わすれとんかち」など
だんだんイカした道具が混じり始め、
しまいには、「単行本未収録道具」(当時)など、
どこの子どもが喜ぶんだよ!的マニア度が全開に。
同、p.66
「カワイソメダル」? 「きもだめしめがね」?
わあ、面白い道具! 読みたい!
……読めません、読めねぇぇぇっ!!
と、当時の叫びがフラッシュバックしてきましたが、
1996年は恐ろしい勢いで藤子本が書店から消えていた時期。
F・Fランドもとっくに絶版で既に入手困難になりつつあったし、
何より一介の中学生にどーやって未収録を読めと。
国会図書館にも入れません。
……今なら、それくらいの年齢でも、
私以上に知識をお持ちの方もたくさんいらっしゃるのですが。
当時はまだそこまで能動的でなかったようです。
逆にそういった葛藤から、
次第にヲタの道へ迷い込んでしまったということでしょうか。
ぴかコミやプラス、そしてF全集の刊行と、
本当にありがたいことだなあと感じる現在です。
◇
そんなこんなで、侮りがたき一冊。
さらにページを進めますと、
三谷幸広先生による、
映画「2112年ドラえもん誕生」のコミカライズが掲載されています。
扉絵欄外には、
※このまんがは1995年春、藤子・F・不二雄先生により
新しく認められた新設定に基づく「たん生ものがたり」です。
と、あります。
あの映画で語られた衝撃(?)の最新設定を公式として、
マンガでわかりやすく整理するという試みのようでした。
展開は若干駆け足気味なので、
個人的には映画の方が良いかなという気もしますが、
三谷絵のノラミャー子さんなどは貴重かもしれません。
同、p.72
<チラシ> 高校時代、「ドラの元彼女をうろおぼ絵で描く」という企画があったときに、
この三谷版ノラミャー子を「正解」として提出したのは…無理があった。 チラシ>
◇
そんなこんなで、
そこまでであったら、
この本は「私をドラヲタへ目覚めさせた想い出の一冊」
で終わるのですが、
つい数年前まで、今でも時折、引っ張り出して見るのは
ひとえにこれが収録されているためです。
「ドラえもんデータファイル」!
てんコミ1~45巻に収録された、
全タイトル、全道具、全ゲストキャラ、ページ数、各話テーマを
一覧にしたという、ものすっごい企画。
「あの話は何巻だっけ」
「あの道具は何巻のどの話だっけ」
「あのゲストキャラは…」
という疑問が生じるたびに、手にとっては
くりかえし、くりかえし確認してきた日々です。
↓43巻のリスト例(一部)
同、p.105
※クリックで全体図表示
今は、インターネットでうろ覚えの単語でもなんでも放り込めば、
それっぽいヒントを拾ってきてくれるので、
「ああ○巻のあの話か」と見当が付き、
すぐ該当の巻を取り出すことができるのですが、
インターネット環境を手に入れるまでは、
本当にこのリストが頼りでした!
まさか一冊ずつ読んでいくわけにもいかないし。
…ある程度は「何巻にこの話が」というのが
頭に入っているのですが、意外と他の話と混ざっていたりもして、
記憶があてにならないことも身にしみております。
2010年現在でも、
ネット「でも」調べられることを、
このリストで調べたりもするんですよねえ……
なんというか、完全に「手に馴染んでいる」感じ?
紙媒体でパラパラとめくって見れるという、
印刷物ならではの通覧性も捨てがたいものがあります。
◇
と、いうことで
細心の注意をはらいつつも、
あちこち傷みが出てしまっている本ですが、
コレクションとか資料性とかそういうのを超えた一冊として、
これからも大事にしていきたいと思います。
……改めて、地味にマニアックな本だな、と思ったら、
奥付を見て、納得。
◇
<書誌情報>
てれびくんデラックス
ドラえもん完全大百科
1996年4月1日 第1刷発行
1996年12月1日 第2刷発行
小学館
定価900円(本体874円) ※当時
ISBN4-09-101449-6
この記事へのコメント
コメントの確認が遅くなりまして大変申し訳ありませんでした!
私もこの本は中学一年生の時に購入しました。
最初に発売されたときはその存在を知らず、F先生が亡くなったことで入手が出来て、その後も長く愛読してきたことを考えると複雑なものがあります。
>まあそのおかげで買えたと言うのは確かなのですが・・・悲しかったです。
という部分についても本当に同意です。
今は「藤子・F・不二雄大全集」の刊行もさることながら、「Fの森の歩き方」のような詳細なガイド本、関連本も多数発売されている状況なので、改めて感謝するとともに、できる範囲で紹介もしていけたらなと思います。
キャラクター紹介のページが相当お気に入りでした。
同級生がその前のバージョンで持ってたので欲しかったのですが、なんせ中学生の頃ってお金無いですからね・・・。悩んでたら本屋から消えてるし・・・。
で再販を待っていたらこんな事態になってしまい・・・まあそのおかげで買えたと言うのは確かなのですが・・・悲しかったです。
確かにこの頃の藤子本ってすぐ消えてましたね・・・。ドラの鈴付きの愛憎版が変えなくて悔しかったのを覚えてます。